研究課題/領域番号 |
23K02118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
沖 清豪 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70267433)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | イギリス高等教育 / 異議申立て / 高等教育質コード / 公正性 / 入学者選抜 / イギリス / 質保証 / 公正・公平 / 日英比較 |
研究開始時の研究の概要 |
「入学者選抜制度改革をめぐる公正・公平に関する認識は日英間でどのように異なるのか、そしてその違いはなぜ生じているのか」という問題意識を踏まえ、文献調査や訪問調査により、以下の点を明らかにする。 1) 大学入学者選抜試験としての資格試験の質保証はどのように担保されているのか。 2) 入学者選抜試験等の異議申し立て制度はどのように機能しているのか。 3) 日英両国の入学者選抜制度に関する公正・公平観はどのような点が異なるのか
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研究実績の概要 |
本研究は、日英の入学者選抜制度改革の背景にある高等教育の機会をめぐる公正・公平観の違いを明らかにするために、①大学入学者選抜試験としての資格試験の質保証はどのように担保されているのか、②入学者選抜試験等の異議申し立て制度はどのように機能しているのか、および③日英両国の入学者選抜制度に関する公正・公平観はどのような点が異なるのかについて検討するものである。2024年度はこのうち、②の異議申し立ての制度の歴史的変遷と、特にコロナ禍で入学者選抜試験としてのGCE Aレベル試験やGCSE試験が実施されなかったことを踏まえて、大学教育全般における学生からの苦情がどのように整理され、どのような内容や対応に変化したのかについて検討し、論文にまとめた。 本年度明らかにしたのは以下の点である。英国の学生による異議申し立て制度は、現時点で、個人・個別機関レベルで対応すべき懸案(concern)、学生の学生生活全体での経験に関する申立てである苦情(complaint)、そして大学による教育に関する決定や成績評価に対する証拠・根拠に基づく異議申立て(appeal)に整理されており、OIAは特に後者二つを対象として1年で対応方針を表明するように努めている。 第二に、コロナ禍での苦情申し立ての内容や、大学教育実践においてその遵守が期待されている実践コードと質コードの内容を踏まえると、現時点での異議申し立て制度の原則として、公正性、透明性、均衡性、補償性という四点が確認できる。 第三に、特にノッティンガム大学の優れた取り組みとして、学生への充実した情報提供と研修の機会の場の提供が充実してくることで、コロナ前における異議申し立ての件数の多さや特定領域における苦情の多さが改善されていることを踏まえて、適切な調整制度、特に機関内での苦情対応とそのための研修制度の充実が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画の第二の柱である異議申し立て制度の現状と課題については、学会報告を1件、論文を1本公表しており、研究成果としては最低限残すことができたかと思われる。 一方、予定していた訪問調査が準備不十分などの事情で2024年度以降に改めて実施することとなり、より有意義なデータ収集のために調査方法あるいは調査訪問先の再検討を含めて、必要な現状調査をどのように実施するのかについて改めて検討する必要が生じている。少なくとも本研究計画の第一の柱としての資格試験の多様化とその質保証システムの再検証を十分検討して、日本への適応可能性の検証を2024年度中に進める必要がある
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は当初の研究課題1である入学者選抜制度で活用されている試験・資格制度の質保証の仕組みの解明を目指すために、政策関連文書の検討や試験実施団体への訪問調査を実施し、イギリスにおける各種の学術資格試験と職業資格試験制度、とりわけ入学者選抜に直接関連するGCE Aレベル試験とGCSE試験、並びに新たに導入された高度な職業資格であるTレベルに対する第三者評価制度の設計、評価基準、および試験実施団体の第三者評価制度に対する準備などを明らかにする(研究1)。 また、引き続き学生の異議申し立てについても文献調査とデータ収集に努め、特にOFQUALの活動実態を検討する。また、異議申し立てにおいて重要な役割を果たしている学生ユニオンに対して訪問調査かアンケート調査を実施し、異議申し立て制度への姿勢と活用方針を確認するこ(研究目標2)。 こうした活動を通じて、日英の特に入学者選抜をめぐる認識における公正観の違いについて検討し、公正観の転換の可能性を検討する。
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