研究課題/領域番号 |
23K02129
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井本 佳宏 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (10451501)
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研究分担者 |
辻村 貴洋 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10546790)
後藤 武俊 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (50451498)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 公教育 / 私立学校 / 義務教育 / 日独比較 / 過疎地域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、過疎地域における義務教育段階での私立学校の拡大が当該地域の公教育にもたらしている揺らぎと、その中に胚胎する公教育の再生のダイナミクスを日独における事例研究に基づく比較研究を通じて明らかにし、そこから得られる示唆をもとに公教育概念の再検討を行うことを目的とする。これは、新自由主義的な改革が教育に落とした光と影のその先に、改めて公教育を土台から組み直すための理論的基盤の構築を目指す試みである。
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研究実績の概要 |
研究目的の達成に向けて、2023年度は以下の活動を行った。 1.日独の過疎地域における義務教育段階の私立学校の新設を可能にしている法制度的基盤を明らかにするために、日独における私立学校関係法令、行政資料等の収集、整理、分析を行った。 2.日独の過疎地域における私立学校拡大の事例となる地域を取り上げ、当該地域における私立学校の拡大過程とそのことが公教育に及ぼしている影響について明らかにするために、日本については公私協力方式による義務教育段階の私立学校の創設事例に関する情報の収集、整理を行い、事例研究の対象とする地域の選定に向けた検討を行った。また、検討を通じて過疎地域における学校供給維持につながる動向として、今後は公立の小規模特認校の事例にも注目する必要性を確認した。ドイツについては典型的な過疎地域であるメクレンブルク‐フォアポンメルン州フォアポンメルン‐グライフスヴァルト郡を対象として選定し、郡内の義務教育段階の私立学校全校のプロフィールを調べ、一覧化した。 3.公教育に関する学術的議論の再検討を行い、公教育概念の再構築を行うために、研究メンバーによる定期的な文献検討会を行い、公教育に関する学術的議論の読み直しを行い、その到達点の確認をおこなった。 以上の活動を通じて研究を着実に進捗させることができた。加えて、2023年度は私立学校制度についてのドイツにおける代表的研究者であるリタ・ニコライ氏(アウクスブルク大学教授)を招聘し、宮城県内での学校訪問調査、東北大学での研究セミナー、研究メンバーとの意見交換を行うことでドイツからの視座を比較分析に導入し、本研究を国際共同研究へと発展させる基盤を形成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」において述べたとおり、2023年度は研究目的の達成に向けて3つの活動を計画にしたがって着実に実施することができた。 3年間の研究期間の初年度ということもあり、形にして公表した研究成果の数という点では現時点では必ずしも多くはないものの、今後の学会発表や論文刊行につながる成果の蓄積は順調に進んでいる。 加えて、2023年度にはドイツ・アウクスブルク大学からリタ・ニコライ教授を招聘しての共同での研究活動を行うなど、今後研究を加速するとともに国際共同研究へと発展させていくための基盤を形成することもできた。 以上より、初年度の進捗状況としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究進捗を基盤として、今後は下記の方針で研究を進めていく。 1.日独の過疎地域における私立学校拡大の事例研究については、2023年度に行った検討に基づいて事例として取り上げる研究対象地域を日独それぞれについて選定し、当該地域における私立学校の拡大過程とそのことが公教育に及ぼしている影響について明らかにするために訪問調査を実施する。特にドイツへの訪問調査については、2023年度に形成したドイツ・アウクスブルク大学のリタ・ニコライ教授と連携を活かすことで、限られた日程の中での調査の充実を図る。 2.2023年度に引き続き定期的な文献検討会を開催して公教育に関する学術的議論の再検討を行う。また、2024年度後半からはその成果を訪問調査の成果と照らし合わせて練り直してゆき、最終的な研究目的である公教育概念の再構築につなげてゆく。 3.研究成果の公表に関しては、まず2023年度に行った研究活動から得られた成果の論文化を優先して進め、その後の研究活動の成果についても随時学会発表や論文刊行による速やかな公表に努める。
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