研究課題/領域番号 |
23K02130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
七木田 文彦 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (40431697)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 体力 / 予防 / 身体 / 保健体育科 / 保健科 / 体育科 / 専門意識 |
研究開始時の研究の概要 |
①戦後教育改革において合科型教科「保健体育科」として成立した段階で、「保健」と「体育」がどのような接点をもって合理的に結びついたのか、②保健体育科の教員が「保健」と「体育」の両分野の授業を担当することになった経緯、③「保健」授業実施率低迷のために試みられた改善策が機能しなかったのはどうしてか。実践、行政、制度、民間教育運動、研究等の各領域から試みられた改善アプローチの実態を明らかにした上で、保健授業の低迷は、①教科成立時に合科型教科形態に包含された構造的欠陥、②担当教師の適切性、③改善に向けた取り組みの課題について、教科構造の成立から問題の所在を顕在化する。
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研究実績の概要 |
保健科が成立時に負った課題について、暫定的に体育との合科型教科が選択されたプロセスに着目して検討を行った。資料の収集と読解を進めながら、論文の執筆に向けて作業を行っている。教科成立に関わるキーパーソンの岩原拓の思想形成、行政経験のまとめ等から内在化された教科の問題と結びつけ、同時代的な保健と体育の思想の接点について分析した。当時の医学、生理学、体力、体錬等の概念整理から、疾病のコントロールと予防、戦時下における総力戦の接続が連関をもったときに立ち現れた教科としての必要性が教科成立時の保健体育の合科型教科の思想を形成した。今日においては、健康とスポーツ概念の新たな接点により教科構造に変化が見られるが、身体のとらえ方、医科学の成果が偶然にも接点を生み出して具現化された結果が今日も継続しているた。後年、一時期に誕生した教科の形態は、これを担当する教師を生み出し、同教員免許状に対応した教員養成システムの誕生、これを担う研究者の誕生と連続して外堀を埋めるように取り巻く環境が形成された。こうして70年が経過するとそれぞれの職種と出自について、無意識下で自己正当化されるような教科を取り巻く一連の社会が成立した。こうなると構造的課題が発見されてもドラスティックに改革を行うことが困難となる構造が確立しており、問題は指摘されつつも、目先の課題に短期的なアプローチで改善を求めるにとどまる対策へと人々を誘導してしまう。こうした構造が内側からの改革を困難にしていることを歴史を遡って指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国立国会図書館所蔵のCIEデータ、戦時下、戦後教育改革資料の収集と読解、ヒアリング等を行いながら資料の収集と読解を進め、論文の執筆を進めている。制度形成時の資料に加え、制度形成を支えた思想について、医科学、特に生理学、衛生学の土時代的理解を進め、身体、体育、予防の概念とあわせながらどのような接点を結び、理解されながら保健と体育を結びつける考えが誕生したのか、体力を接点として展開された教科の誕生過程の詳細を検討している。あわせて、戦後に展開された教科誕生後の問題を改革する試みを改革史としてまとめるために戦後資料の収集と読解を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
岩原拓、重田定正、小笠原道生、橋田邦彦、荷見秋次郎らの個人思想をさぐりながら、各々の体力概念、体育概念、保健概念、衛生概念、健康概念等の理解と差異をまとめ、また、上記概念を教育の教科誕生に向けて、どのような点において政策プロセスを支えたのかを明確にする。また、教科誕生後に、合科型教科としての問題が指摘されつつも、政策担当者、研究者の世代交代が進み、誕生時の課題は過去の課題として認識されることで、次世代社会の新たな課題として、目先の問題の改善に向けた短期的な研究が進められる。このような問題形成史と改革史をまとめる中で、教科としてのあり方はその存在が自明のこととなり、教科構造の課題に盲目となった展開について経緯を辿りながらまとめる予定である。
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