研究課題/領域番号 |
23K02138
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
伊井 義人 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (10326605)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 社会的公正 / 学校教育 / オーストラリア / 多様性 / 教育政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、オーストラリアの学校教育が目標に掲げる社会的公正の実現がいかなる理念の下、どのように実現されようとしてきたのかを検討することを目的としている。具体的には、2023年度には「社会的公正の変容が、現在の教育政策にどのような影響を及ぼしたのか」、2024年度には「各教育分野において社会的公正の意味は異なるのか」「社会的公正の実現に向けて、どのような取り組みを実施しているのか」、2025年度には「社会的公正への理解は、教育政策・学校現場では異なるのか」「学校が多様な役割を抱え込む現状と社会的公正との関係性とは何か」を段階的に明らかにし、研究を遂行していく。
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研究実績の概要 |
本研究は、豪州の学校教育が目標に掲げる「社会的公正」の実現がいかなる理念の下で語られ、それらがどのように実現されようとしてきたのかを検討することを目的としている。具体的には、2023年度には学校教育(政策)における「社会的公正」という理念を整理ししてきた。そこでは、豪州の研究者が社会的公正や多様性という概念をいかに捉え、検討しているのかを、特に教員養成の観点から考察することができた。それらの成果として教育政策における社会的公正の位置づけに関する考察は、日本比較教育学会での研究発表、オセアニア教育学会での論稿、そして、教員不足に関する共著を残すことができた。 これらの知見をもとにしながら、日本教育学会のEducational Studies in Japanでは、特集論文としてExploring new relations between “Education and Equity”を企画することができた。 実地調査としては、23年3月には豪州のモナッシュ大学を訪問し、超多様性(superdiversity)を軸とした教員のコンピテンシー習得をケアを観点として検討している研究者や、教員資格を有する移民難民の学校への適応過程に関する研究者との情報交流を行うことができた。これらの研究者との交流から、社会的公正概念だけではなく、学校教育における社会正義への視点を更に強めるに至った。つまり、社会正義の中の分配的な側面を重視する正義がこれまでの学校教育における社会的公正に該当することが明らかになった。今後は、その分配性を測る指標の「正しさ」や、そこでの学習者などの多様性を承認的な正義との関わりで考察することが課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、豪州の学校教育が目標に掲げる「社会的公正」の実現がいかなる理念の下で語られ、それらがどのように実現されようとしてきたのかを検討することを目的としている。具体的には、2023年度には学校教育における「社会的公正」という理念を整理し、豪州の教育政策において以下に実現されようとしているのかを検討してきた。 これまでの研究成果とも関連付けながら、研究実績の概要でも述べた成果を残すことができた。 それらの研究成果から、今後は、社会正義における社会的公正の立ち位置を、教育政策の観点から更に精緻に検討するという視点を得ることができた。 また、23年度を通して、豪州の研究者との情報交流も定期的に実施し、来年度以降の研究を進めるうえでの基盤がある程度構築できた。それらの蓄積をもとに、24年度はより焦点を絞り、学校教育における社会正義、社会的公正、多様性という概念を実践とも関連付けながら検討していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、当初の予定通り、以下の目標を段階的達成すべき研究を継続する予定である。 2024年度には「各教育分野において社会的公正の意味は異なるのか」「社会的公正の実現に向けて、どのような取り組みを実施しているのか」「社会的公正と社会正義との関係性」、2025年度には「社会的公正への理解は、教育政策・学校現場では異なるのか」「学校が多様な役割を抱え込む現状と社会的公正との関係性とは何か」を段階的に明らかにしたい。
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