研究課題/領域番号 |
23K02139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
時津 啓 島根県立大学, 人間文化学部, 教授 (20518005)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | メディア教育 / 文化研究 / メディア研究 / メディア利用 / 教育学的想像力 |
研究開始時の研究の概要 |
パンデミックの影響で、オンライン授業が日常化し、ICT教育はますます推奨されている。教育におけるメディア利用が改めて問われている。しかしながら、教育学におけるメディア利用は、メディア理解(教育哲学、教育社会学)とメディア利用(教育工学、メディア教育)に分離しており、双方のすみわけが加速している。 本研究はこうした現状を乗り越えるために、メディア研究と教育学を再接続し、「批判的なメディア利用」の可能性を問い、「教育学的想像力」という新たな概念の可能性を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度は初年度ということもあり、資料をそろえること、さらに教育工学、教育哲学における「批判性」を検討した。具体的には、共訳書を1冊出版し、学術論文を2本掲載した。 確かに、教育工学、教育哲学ともに、その分析が表層的なものにとどまり、本来計画していたように、その語りに注目して、批判性の内実を抽出するまでには至っていない。 しかしながら、その手がかりを得ることはできた。第一に、イギリスのメディア教育学者バッキンガムの『メディア教育宣言』を共訳者の一人として出版することができた。その中でメディア研究者水越伸氏と仕事ができたことで、メディア論の視点から教育におけるメディア利用を問える可能性を見出すことができた。第二に、メディア・リテラシーとは異なる批判のあり方を模索し、それを歴史的に位置づけなおすことができた。そうすることで、個人の資質能力に依拠した批判ではなく、その社会的な含意やメディア論的な含意を議論や検討の俎上に載せることができた。第三には、教育工学が進める教育DXに着目し、その特性と限界を教師像の観点から解明した。ここでは教育工学の基礎となる法整備や教育行政、経済行政の視点に着目し、それらが教育学的な視点といかに異なるのか。さらに、それにはいかなる可能性と限界があるのかを検証した。最終的には、授業実践におけるメディア利用に着目し、その限界を現代メディア論の視点から批判的に検証し、教育学とメディア研究の再接続に向けた足がかりを作った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たな資料の発掘や、メディア教育史の連続性を十分に考察する時間を確保することができなかった。次年度は「教育学的想像力」に関する資料を十分にそろえること、さらに文化研究との連続性を考察していく。1点目については、渡英することも検討しており、文化研究が注目される以前の資料を発掘し、メディア研究と文化研究の再接続を模索したい。2点目は、イギリスの研究者バッキンガムやポーターの力も借りながら、資料収集に努め、資料の厳選と読み込みを早急に進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2024年)は渡英し、ロンドン大学、ケンブリッジ大学で新たな資料を収集する。そして、メディア研究と教育学研究の再接続に向けた考察を進める。とりわけ、ニュークリティシズムとカルチュラルスタディーズの分離・相違点にも注目しながら、考察を進めていく。 また教育学全般に関するメディア利用に関する知見や資料を十分に読み込めていない。この点が当初の計画が遅延する要因と考えられるため、再度基礎文献を精査し、深く読み込む作業を実施する。最新の教育工学に関する議論はもちろん、コンピュータが普及し始めた当初の議論にも注目しながら、教育学における(情報)メディア技術をめぐる議論を整理する。
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