研究課題/領域番号 |
23K02142
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
黒川 雅子 学習院大学, 文学部, 教授 (90339482)
|
研究分担者 |
坂田 仰 日本女子大学, 教職教育開発センター, 教授 (70287811)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | いじめ問題 / いじめ重大事態 / いじめ防止対策推進法 / いじめ裁判 / 説明責任 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、いじめ防止対策推進法が規定するいじめ重大事態への対応をめぐり、いじめ防止対策推進法及びガイドライン等に基づき対応する上で教育委員会が抱える課題を明らかにし、それら課題を踏まえた上で、今後目指すべき対応の在り方について検討する。その上で、生徒指導を軸とした教育学視点による対応のみならず、法的視点に照らした対応を加味して、根拠に基づき説明責任を果たすために必要となる対応の方向性を整理した「いじめ重大事態対応モデル」を提示することを試みる。
|
研究実績の概要 |
本研究は、いじめ防止対策推進法が規定するいじめ重大事態への対応をめぐり、いじめ防止対策推進法及びガイドライン等に基づき対応するうえで教育委員会が抱える課題を明らかにし、それら課題を踏まえた上で、今後目指すべき対応の在り方について検討することを主たる目的としている。研究初年度にあたる本年度は、いじめ防止対策推進法の制定以前と施行後により、いじめ重大事態の対応をめぐり求められる教育委員会や学校の役割に変化が生じているかについて検討を行うため、裁判例の収集に努めた。 その結果、いじめ重大事態をめぐり、学校側の対応がいじめ防止対策推進法に基づくものとなっていないとする主張が展開される事案が存在するとともに、いじめ防止対策推進法や文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(最終改定平成29年3月14日)に示されている内容を踏まえ、学校側の対応の過失が認定されている事案も一定数存在していることが明らかとなった。 なお、収集した事案の中には、金銭における保障を求めているわけではなく、学校側のいじめ重大事態対応の責任追及をすることにのみ目的があるように映る事案も見受けられた(東京地方裁判所判決令和4年5月16日等)。こうした事案が出始める中、教育委員会が、いじめ重大事態において、いじめ防止対策推進法、ガイドラインに基づき対応していくことの重要性が増しているといえる。 さらに、本年度中には、文部科学省が、いじめ重大事態の発生件数に照らして、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」の調査指針を改定する方針であることを明らかにしている(読売新聞オンライン「いじめ「重大事態」の調査指針改定へ、文科省が骨子案…第三者委の選び方など明示」2024年3月29日)。教育委員会に求められるいじめ重大事態の対応の在り方について、見直しに関わる検討の動向に注目していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度における研究成果の目標としていた、いじめ防止対策推進法の制定以前と施行後により、いじめ重大事態の対応をめぐり求められる教育委員会や学校の役割に変化が生じているかについて裁判例の分析による検討を行うことを進めることができたからである。また、いじめ防止対策推進法制定以降、いじめ対応をめぐり、学校現場に及ぼしている影響について考察することができたと考えるからである。
|
今後の研究の推進方策 |
いじめ重大事態に関わる裁判例の収集・分析を継続して努めるとともに、公立学校を指導する立場にある教育委員会に対し、いじめ重大事態対応に関する調査の在り方について、教育委員会との意見交換を重ねながら整理していくこととしたい。 また、教育委員会が既に作成している、いわゆる「いじめ重大事態対応マニュアル」を収集し、その内容を、いじめ防止対策推進法、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(最終改定平成29年3月14日)、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(平成29年3月)に照らし分析することとしたい。
|