研究課題/領域番号 |
23K02144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
下司 晶 中央大学, 文学部, 教授 (00401787)
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研究分担者 |
野見 収 沖縄国際大学, 法学部, 教授 (00511164)
関根 宏朗 明治大学, 文学部, 専任准教授 (50624384)
波多野 名奈 千葉経済大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80574201)
須川 公央 白梅学園大学, 子ども学部, 准教授 (80581561)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 精神分析 / フロイト / 教育学 / 保育学 / 教育哲学 / 教育思想 / 教育人間学 |
研究開始時の研究の概要 |
現代の教育学では、個人と社会の相互作用に着目し、個人の発達と社会の改革を同時に成立させる思潮が注目を浴びている。それは政策としては、シティズンシップ教育や主権者教育、SDGs教育としてあらわれるし、思想としては、精神分析の影響を受けたと構造主義・ポスト構造主義の現代的な再解釈に見て取れる。本研究では、教育こそ個人/社会の紐帯に他ならないと考えた上で、精神分析の教育への応用と精神分析の社会科学への応用とを包括的に考察対象とする。それよって両領域を架橋するとともに、社会の形成と社会改革を可能にする政治的主体を育成するための新たな教育像を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は、「精神分析による発達論と社会思想の架橋――政治的主体の形成を担う教育のために」と題して、シティズンシップシップ教育に典型的なように、今日求められる政治的主体性を育成するための基礎理論として、精神分析理論の二つの側面、つまり心理学的側面としての発達論と、主体論としての社会思想理論における主体論を検討するものである。 本年度は、二つの研究チームに分かれて研究を行いながら、相互の研究を統合するよう努めた。精神分析理論の心理学的側面については下司晶・須川公央・波多野名奈が、政治的主体論は野見収・関根宏朗が主として担当したが、必ずしも厳密な区分ではなく、一方が他方のテーマも検討することにした。また、これまでの本研究チームの成果であるデボラ・P・ブリッツマン『フロイトと教育』、野見収『断絶としての教育: アルチュセールにおける革命への問い』については、これを基礎として踏まえた。 著作としては、下司と関根が『教育哲学事典』にフロイト、マルクーゼとフロムとった、心理学理論と社会思想を架橋した思想家についてまとめた。また、政治的主体については、同じく下司・関根が『教育哲学事典』に、55年体制と冷戦期教育学に関して執筆した。また関根は『教育学年報』において戦後日本の主体論にかんする執筆を行った。 学会発表としては、心理学的理論については、波多野が日本精神分析的心理療法フォーラムにおける発表として成果を発表した。野見・須川が、アルチュセールを軸として、政治的主体の形成について論じた。 蒸気を通して、本研究課題の意義は、教育哲学や教育思想の分野だけでなく、臨床心理学においても示すことが出来たと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の研究成果については、上記のように順調に進んでいる。各学会、および教育学全体にも研究の成果は届いていると考えている。ただし、これらは国内での研究に留まる。海外の研究については、本来であれば翌年度の予定であったが、イギリスでの調査を前倒しで出来ないかも検討したが、残念ながら実施できなかった。当初は、イギリス・ロンドンにて複数の施設および大学、研究者への調査を行う予定であった。世界の児童分析や子どものケアの先進的施設であるアンナ・フロイト・センターでの児童分析の開始についての資料収集および聞き取り調査、また、同治療教育機関であるタビストック・クリニックでの児童期精神分析と教育に関する聞き取り調査、精神分析の観点を取り入れた保育者養成ローハンプトン大学での保育実践についての聞き取り調査を予定していた。しかし予想以上の円安の影響、および各大学での研究状況によって、本研究グループでの海外渡航が難しかったことにより、これらの調査は次年度に持ち越すことになった。とはいえ下司と須川を中心として、ロンドンのフロイト関連施設の担当者を通じて、現地とのオンラインでの現地との研究交流は行うことができた。国内でもある程度の文献は入手できるし、オンラインでの調査も可能なのだが、海外での実地調査でなければ得られないものも少なくないと思う。とはいえ、以上は「当初の予定以上に進展している」の範囲に関することなので、研究内容としては「おおむね順著に進展している」と考える。
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今後の研究の推進方策 |
国内での研究はこれまで通り進める。研究グループの各メンバーは複数の大学等に所属しており、これまではオンラインのミーティングが中心であったが、コロナパンデミックの収束の状況から判断して、可能な限り対面での研究活動を進める。研究成果は、教育哲学会、教育思想史学会などでの発表を行うと同時に、論文や書籍の形で、発表する予定である。国内で入手可能な文献や資料は入手する。またオンラインで可能な調査は行う。 と同時に、海外での実地調査でなければ得られないものもあると思われるため、イギリス・ロンドンにて調査を行う。1)世界の児童分析や子どものケアの先進的施設であるアンナ・フロイト・センターでの初期児童分析の開始についての資料収集および聞き取り調査。2)精神分析を応用した治療教育機関であるタビストック・クリニックでの児童期精神分析と教育に関する聞き取り調査。3)精神分析の観点を取り入れた保育者養成ローハンプトン大学での保育実践についての聞き取り調査を予定している。このためには、研究グループの各メンバーが所属する機関との交渉ともなるが、短期の出張とはいえ、ある程度の研究に専念出来る期間も必要となると思われる。こうした調整も必要である。
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