研究課題/領域番号 |
23K02146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
根津 朋実 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50344958)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 羅生門的評価 / 学習評価 / 教育評価 / 間主観性 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究課題は、教育評価の新たな方向性を開拓する、基礎的な研究である。教育評価研究が陥りがちな「主観/客観」という二項対立的な図式を批判し、主観を重ね合わた「間主観性」が有する意義を検討する。「主観/客観」 図式は、歴史的にはさほど古くはない。ここ半世紀は「主観/客観」図式に回収されない、「間主観」関連の研究動向が注目される。「間主観」は現象学的社会学に由来する語で、「自己評価」(安彦忠彦)や「羅生門的評価」(東洋)とも通底する。理論重視の研究課題ともとれるが、日々の教育実践や教育評価の実態からすれば、それらの説明やとらえ直しに益すると目される。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、4年間の個人研究として計画した。基礎的な研究のため、研究期間や組織はやや小規模に設定した。以下、研究の課題と方法について、端的に示す:1)従来の主な教育評価研究を収集・整理し、「主観/客観」という二項対立的な図式を確認する。2) 「自己評価」(安彦忠彦)や「羅生門的評価」(東洋)の議論に依拠し、主観を活かした教育評価の方法を検討する。3)「間主観」や「共同主観」に関する資料を収集・整理し、教育評価への組織的な応用を考察する。4) 以上の検討をもとに、教育評価における間主観性の方法論的な意義をまとめる。 第一年次にあたる2023年度は、上述の研究課題1)および2)を部分的に遂行した。いずれも、科研費による助成を得る以前から資料や情報収集を進めており、それらを発展させるよう努めた。具体的な成果として、教育評価に関する専門学会における発表1件、および紀要論文1件を挙げられる。 第一年次の成果の一つは、Cronbach, L. J.と関わりの深い東洋(あずま ひろし)による、「羅生門的評価」の議論を整理し,新たな学習評価の一方法として改めて提案したことである。これにより、人間の組織的な判断を重視する間主観的な評価方法を,ある程度具体的に示せた。この検討の過程で、「羅生門的評価」の背景として、東自身による複数の中等教育機関における実践や、OECD-CERIの各種セミナーと東との関係が深い、という事実を確認できた。以上の成果は、理論面にとどまらず、評価実践への適用可能性の検討も含む。 あわせて、改めて確認した「羅生門的評価」と、20年前に代表者により確認されていた評価実践との整合性を確認した。この評価実践は2023年度も継続しており、往時の実践との比較検討が可能なことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本務の役職担当(2022.9-2024.9)による業務量の激増や想定外の本務発生に伴い、申請当初に予定していたエフォートの確保や維持、予算の執行が著しく困難となったため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度内に役職任期を終える予定であり、年度の後半は相対的に時間を確保できると目される。2023年度に十分遂行できなかった各研究課題に着手し、成果を学会発表や学術論文としてまとめる予定である。 科研費の申請当初は理論的研究を目指していたが、いくつかの偶然が重なり、代表者が20年以上前に検討した評価実践を、「再」確認する機会を得るに至った。今後は当該評価実践も参照しつつ、研究を遂行する予定である。
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