研究課題/領域番号 |
23K02158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
西野 雄一郎 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (00850398)
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研究分担者 |
中野 真志 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90314062)
金津 琢哉 東海学園大学, 教育学部, 教授 (20633522)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | メリアム / 進歩主義教育 / ミズーリ大学附属初等学校 / デューイ / 奈良女子高等師範学校附属小学校 / 社会的効率 / アメリカ教育 / アメリカ史 / J. L. Meriam / 新教育運動 / カリキュラム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,メリアムと同校の教師らのミズーリ大学附属初等学校におけるカリキュラムと授業実践の実態解明を目的とする。同校でのカリキュラム開発を行うにあたってメリアムは,J.デューイの影響を色濃く受けたとされる。また,同校のカリキュラムは,我が国の大正新教育運動に影響を与えたとされる。よって,この両者の教育情報受容に基づくカリキュラム開発の関連を解明することにより,世界的な新教育運動の実態解明の進展に貢献することができるであろう。加えて,新教育運動の系譜に位置付けられる我が国の生活科や総合的な学習の時間に対する「活動あって学びなし」という批判を克服する理論的基盤の構築が期待される。
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研究実績の概要 |
2023年度においては、中野と西野はミズーリ大学とコロンビア大学に赴き、資料収集を行なった。例えば、ミズーリ大学に隣接するSHSMO(The State Historical Society of Missouri)に所蔵されているメリアム・ペーパーズを入手することができた。 アメリカで収集した資料を翻訳し、西野はその一部を、日本カリキュラム学会における自由研究発表題目「J.L.メリアムの着想に基づいたミズーリ大学附属初等学校におけるカリキュラムと授業実践」のための資料とすることができた。西野は他にも、日本生活科・総合的学習教育学会において、「J. L. メリアムの動機論についての検討-W. W. チャーターズの動機論との比較分析を通して-」というタイトルで発表した。また、愛知教育大学教職実践センター紀要に「メリアムやミズーリ大学附属初等学校におけるカリキュラム開発と社会的効率主義との関係性①」と題した論文を投稿した。 2023年度は、特に社会的効率主義とメリアムとの関係性について研究を進めた。社会的効率という用語についてはデューイも言及しており、デューイのいう社会的効率と、メリアムが実践を通して涵養しようとした社会的効率の要素に類似点も見つかった。 一方金津は、メリアムの実験による奈良女子高等師範学校附属小学校への影響について調べており、職員会議記録のうち,ちょうどメリアムの影響があるとされる中合科学習が話題になった時期の直後の記録が散失していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミズーリ大学に赴き、資料収集ができたことによって研究が進んだ。SHSMOに所蔵されているメリアム・ペーパーズにはミズーリ学校の実践記事も含まれており、より具体的に実践や子どもたちの姿を知ることができた。これにより、ミズーリ学校のカリキュラム開発の計画・実施・成果についてこれまで以上に明らかにすることができた。 メリアムが実践を行なった当時のアメリカ社会における教育動向に関しては、「社会的効率」という用語が用いられる教育界の動向に照射してレビューした。その結果、メリアムの求める社会的効率は、デューイの言及する社会的効率の意味と類似していることも明らかになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、メリアムとデューイの文献の比較照合を行う。社会的効率に関する教育動向の中に、デューイを位置付け直したのはノール(Michael Knoll)の2009年の論文"From Kidd to Dewey: the origin and meaning of ‘social efficiency’"だったが、さらにその動向にメリアムを位置付ける作業を試みる。メリアムの著書Child Life and the Curriculumに彼が記載している「社会的効率」の意味は、いわゆる社会的効率主義者と称されるボビットやチャーターズの用いる「社会的効率」とは大きく異なり、デューイの言及する「社会的効率」に類似していると仮定する。2024年度においては、社会的効率主義者と呼ばれる者たちやデューイとメリアムの「社会的効率」に対する着想の異同についての文献を比較し、その検証を行う。
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