研究課題/領域番号 |
23K02167
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦史 東海大学, 海洋学部, 准教授 (40645305)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 山形県 / 三島通庸 / 「巡視功程」 / 地域教育 / 地方巡幸 / 郷土教育 / 天皇制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦前日本の地域教育において近代天皇像が形成され、その後昭和期に転回していく過程を、山形県の村山地方とその周辺地域を事例として歴史的に検討する。 特に本研究では、天皇の「権威」によって学校教育を中心に地域社会の社会関係が再編され、その後、近代的な天皇像が形成される過程を、地方巡幸での明治天皇の学校訪問に着目し検討する。さらに、そうした天皇像が、昭和期に至り国際的な緊張関係が高まるなかで「郷土」意識の醸成に結び付いていくプロセスを、天皇の訪問を受けた地域で行われた郷土教育の検討を通じて明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、明治初期の山形県における公教育制度の展開過程について、当時県政を主導した初代県令三島通庸の教育政策との関連に留意して検討した。その際、三島の公教育政策の主軸一つであった「盛大ナル一学校」構想に着目した。「盛大ナル一学校」構想とは、県内の要地に、中学校を併置し荘厳な校舎を擁した近代学校を創設し、模範校として地域教育を主導させる政策であるが、本年度は、その施策の基本的性格とともに、県内における地域的展開の状況を、中央政府の地方教育認識という側面から検討した。 具体的には、三島の構想が、山形県における初等教育政策の中で有した性格を、文部省が示した明治10 年の「巡視功程」を参考に検討し、当時の文部省による山形県の学事状況への評価を通じて、三島の進めた「盛大ナル一学校」構想の性格の一端を明らかにした。また、こうした構想が、その後地域社会において展開していく様子については、三島の進めた教育政策により各郡に設置され中学校を併置した大規模学校(東田川郡、南置賜郡)の検討をすることで、地域社会の近代化が、学校教育を通じてどのように広められようとしたのかを明らかにした。 こうした検討の結果、県令である三島によって、急進的に進められた明治初期山形県の学校教育政策が、地域社会において、公教育という近代的なインフラをいち早く整備していく上で大きな成果を上げた一方で、当時の中央政府の政策当局からは、地域の実態と乖離した「外形」の整備に留まったものであると認識されたことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、本研究課題を概観的にとらえるために、山形県政全体のなかでの教育政策の位置づけや性格分析に重きを置いた。したがって、地域資料の発掘等には十分に着手出来ていないが、上記の作業は本研究の課題を明確化する上で不可欠であり、今後も個別地域の検討とともに継続的に進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度行った研究課題に対する俯瞰的な整理を継続しつつも、村山地方の他、隣接する地域や他県の動向も視野に入れ、地域資料の発掘や、当時の地域事情を伺い知る資料としての新聞資料などの検討も進めていく予定である。
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