研究課題/領域番号 |
23K02178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 和孝 東北大学, 文学研究科, 准教授 (80734798)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 教育訓練システム / 費用負担 / 政策選好 / 社会階層 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本社会における教育訓練システムの費用負担に関して、異なる社会階層間の選好の存在を明らかにすることである。人々は学校・職場を通じて知識や技能を獲得し、そのことが社会的地位を規定する要因となる。そこで問題となることの1つは、誰がどの程度に費用の負担を行うかというものである。一般教育と職業教育への支出のバランスや、個人・企業・政府による費用負担の選好とその社会階層による違いについては明らかになっていない点も多い。本研究は独自の質問紙調査を実施することで、どのような技能形成のあり方を望ましいと考えているかを明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
課題期間の初年度は、既存調査を用いた研究を中心に進めた。 (1)本研究課題期間の前に実施した調査データにより、特異項目機能(differential item functioning)に関する研究を行った。すなわち、ある項目に対してまったく同じ強さの意見や態度を持っていたとしても、その項目に反応する確率が異なる状況として知られるものである。この問題に対する解決方法の1つとして知られる係留ヴィネット法を、公教育支出に対する意見の測定に適用した。結果として、ヴィネット回答による修正適用後は両極に回答がより散らばる傾向が見られた。このことは、政策評価に関わる実際の意見の分断は、質問紙調査で得られる元の回答よりも大きいことが示唆された。この結果を第75回数理社会学会大会に発表し、研究代表者の所属機関における研究科紀要に論文としてまとめた。 (2)国際社会調査プログラム(ISSP)における「政府の役割」モジュールの3時点のデータを用いて、教育政策における政府支出の増加に対する意見の国家間・国家内の変動を分析した。高学歴者ほど政府の教育支出の拡大を望む傾向にあるものの、社会の高学歴化が進むにつれて、その傾向は弱まることを確認した。この結果を第96回日本社会学会大会において発表した。 (3)新規大卒労働市場における専攻分野と職業の関連の変化について、「学校基本調査」の経年データを用いて分析した。全体の変化を、専攻分野・職業の構成割合による関連の変化と、専攻分野・職業の構造的な関連の変化に分解した。男性の専攻分野と職業の関連は弱まってきており、それは構造的関連の変化によってより説明される一方で、女性の専攻分野と職業の関連は強まってきており、それは構成変化によってより説明されることを明らかにした。この結果を第75回日本教育社会学会大会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題に関連する複数のプロジェクトを進め、成果に結びつけることができたため、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究課題期間の第2年度となる。初年度に予定していた調査を延期したため、設計についてあらためて検討し直した上で実施する。 本研究課題と関連する共同研究に新たに関わることとなったため、そちらに一定のエフォートを割きつつも、本研究課題に有意義なものとなるよう自らの役割を考えて進める予定である。
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