研究課題/領域番号 |
23K02180
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
松川 誠一 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20296239)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 子ども / 金融社会化 / 金融リテラシー / 金融ケイパビリティ / ジェンダー / 金融教育 / 質的・量的研究 / 中学生 |
研究開始時の研究の概要 |
10歳代前半は生涯にわたる金融社会化の初期段階にあたり、その重要性が指摘されているものの、研究蓄積は少ないうえに間接的な回顧データに基づく研究がほとんどである。本研究では、インタビュー調査とウェッブ型調査票調査によって中学生が経験している「お金の世界」についての直接的なデータを収集し、金融行動に関わる意識・考え方や習慣の有様を質的・量的分析の両面から明らかにする。さらにその結果を、金融教育教材(教科書等)のテクスト内容分析によって得られる現行の(学校内)金融教育が前提としている学習者像についての知見と比較し、金融教育の問題点と今後の改善の方向性について考察する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、収集済みデータを用いた子供の金融行動の量的分析と、2024年度後半に計画している量的調査の調査票設計に向けた準備作業として先行研究の整理を通した理論的な整理を主として行った。 収集済みデータを用いた分析としては、小学6年生と中学1年生をサンプルとしてその貯蓄経験に関わる社会的・心理的先行要因についての探索的な分析を行った。2か月以上に渡る貯金経験の有無を従属変数としたロジスティック回帰モデルを推定したところ、子供の性別に関係なく家族のSESに関わる変数群はほとんど影響力を持っていないこと、子供が定期的に定額のお小遣いをもらうか否かが、最も大きな影響力を持っていることが明らかとなった。家の仕事を手伝う報酬としてお小遣いをもらうことも貯金経験に正の効果を持っていたが、定期定額お小遣い制との間に交互作用が認められ、後者が存在しない場合にのみ前者の効果が現れることが示された。親子間での金融社会化に関わる諸変数については、子供の性別により影響力に差があることが示され、特に親子間の会話についてその傾向が顕著であった。また、報酬遅延に関する変数は有意な値を示さなかった。全体として、10代前半の子供の貯蓄行動は、子供自身の(合理的)判断に基づいているというよりも、親子間での社会化のあり方に影響を受けた習慣形成に依存していることを示唆する結果となった。この結果は、2023年9月の経済社会学会において骨子を口頭報告し、経済社会学会年報に投稿した。 調査票設計に向けた先行研究の整理については、本年度はジェンダーの効果を見る際の変数の構成に関わる問題に特に注力して研究を進めた。既存の研究においてジェンダーの問題を扱ったものは少なくないが、そのほとんど全てが男女の性別ダミー変数を用いて分析を行っている。これをジェンダー・アイデンティティに関わる変数に置き換えるべく作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
収集済みデータの分析と新たな調査票の作成の準備については、概ね計画通りに進んでいるが、中学生に対するインタビュー調査については、準備は進めているが、実査を年度内に開始することができなかった。また、教科書等における金融教育関連の記述内容の調査についても、調査開始が遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度後半に実施を予定しているWeb型調査票調査については、調査票の設計・作成のための準備は進んでおり、夏に調査委託をする会社の選定作業に入る。収集済みデータの分析についても、新たな分析作業に入り、学会報告が可能なレベルにまで仕上げるようにする。中学生に対するインタビュー調査についても実査の準備作業を進め、夏前から秋にかけての時期に実施する予定である。
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