研究課題/領域番号 |
23K02184
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
白川 俊之 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (40805313)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 社会階層 / ジェンダー / 専攻分野 / 高校生調査 / 自由回答データ / アフターコーディング / 進路選択 / 教育社会学 |
研究開始時の研究の概要 |
日本では、大学の学部・学科・専攻分野などの選択が、男女で著しく異なることが知られている。このような関係を生成・維持するメカニズムの1つとして本研究では、教育達成の主要な格差要因である社会階層の影響に注目する。異なる専攻分野に進学した場合の便益やリスクの認識には階層差が存在すると考えられるため、男女が異なる専攻分野を選択する傾向も、階層により程度の違いがみられることが予想できる。性別と専攻分野の選択の関係において、社会階層という第3の変数による交互作用効果が存在するかどうかを、統計的調査の分析から把握することが、本研究で取り組む課題である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、高等教育における性別専攻分離の特徴ならびに趨勢を、社会階層の観点も取り入れて複合的に把握することにある。 研究計画の実施初年度にあたる2023年度は、具体的に以下の作業を行った。 (1)分析に使用するSSM調査とJLPSの複数年次のデータを取得し、出身階層変数のリコードを行った。またこれらのデータを合併して利用できるように、データの平準化(ハーモナイゼーション)を行った。 (2)性別専攻分離を生じさせるミクロレベルのメカニズムを探るために、進路選択前の意識や心理を検討できる高校生調査のデータを用い、予備的な検討を試みた。高校卒業後に進学した(または進学を希望する)学校についての詳細な情報は、高校生を対象とする調査では自由記述式で尋ねられていることが多い。学校名や専攻分野に関する情報も、基本的には自由記述の回答として得られている。これらの自由記述データを分析し比率などの記述統計量を求めるには、データの事後コーディングを行う必要がある。これに関係して「値の再割り当て」の発想を応用して、コンピュータを用いてコーディング作業を効率的にすすめる方法を提案した。その基本的な考え方と詳細な手続きをまとめて、論文として刊行した。 (3)高校生とその母親を対象としたデータを用い、社会階層が性別専攻分離の発生にどうかかわっているかを検討した。出身階層が有利なとき、性別専攻分離は抑えられるとする予想と、むしろより強まるという予想を既往研究の理論から導き、いずれが現実の状況に近いかをデータから検証した。 (4)社会階層研究、教育社会学、高等教育研究の論文を中心に文献調査を行い、研究課題に関連する文献のリストを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的なデータの取得と加工、前処理は着実にすすんでおり、本格的なデータ分析を始める準備が整ってきている。予備的な分析により得られた知見を学会や研究会で報告し、今後のデータ分析のためのフィードバックを得ている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の「研究実績の概要」の(4)で述べた文献を参考に、さらにデータの取得と整理をすすめていく。これまでに行った文献調査では、本研究課題と類似するテーマの分析において、個票データのみならず公式統計などの集計を用いている論文がみられた。公式統計を利用することができれば分析の幅が広がるし、一般的にはサンプルサイズの小さい個票データよりもデータの精度が高いので、本研究でも公式統計を利用できるように、データ整理の方法や分析手法について、情報を収集する。
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