研究課題/領域番号 |
23K02195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
金子 聖子 東洋大学, 国際学部, 准教授 (50738903)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 都市難民の教育 / 学習センター / 高等教育 / ロールモデル / マレーシア / 難民 / コミュニティセンター |
研究開始時の研究の概要 |
アジアや中東から18万人以上の難民を受け入れているマレーシアでは、国民に対する教育は急速に拡大しているものの、難民は不法就労者と同様の扱いを受け、公教育を受けることは認められていない。マレーシアは一次庇護国であり、難民は将来的には第三国定住を見込みつつも、数十年にわたって滞在し続けるという不確実性をはらんでいる。難民の子どもが学ぶコミュニティセンターでは、資金・人材の不足やカリキュラムの選択など多くの課題がある。本研究では自身も難民であるコミュニティセンターの運営者・教師が、高等教育を享受し子どもたちのロールモデルとなることで、センターの脆弱性を補完する枠組みの提示を行う。
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研究実績の概要 |
マレーシアは東南アジアで最大の18万人の難民を受け入れながら、難民が公教育を受けることは認められていない。難民にとって高等教育は、将来的に付加価値の高い仕事に就き、未来を切り開いていくために重要である。大学の中には難民のための受け入れ枠を設けているところもあり、初等・中等教育から高等教育への接続が課題である。以上のことから本研究の目的は、難民の子どもたちが学ぶ学習センターにおける教師と運営者の有する教育資格と高等教育修了を目指す戦略に着目し、彼ら・彼女らがロールモデルとして子どもの教育に果たす役割を明らかにすることである。 2023年度においては、UNHCRマレーシアのウェブサイトに掲載されている118全ての学習センターに質問票を送付し、50のセンターから回答が得られた(有効回答率 42.4%)。学習センターの一般情報の他に、教師の雇用形態(フルタイム、パートタイム、ボランティア)別の学歴を調査した。その結果、パートタイムとボランティア教師に比べ、フルタイム教師の高等教育修了率が非常に低いことが分かった。これはフルタイム教師は難民自身が担っていることが多いためであると推察される。 次に学習センター6か所でのインタビュー調査を実施した。その結果、金銭面、人材、カリキュラムの面でかなり脆弱な状況である一方、教師たちにとって貴重な収入創出の機会を提供していること、コミュニティへの愛着を感じる場であること、アイデンティティを再認識する場であることなどが明らかになった。 以上の結果についてERAS International Conference and WERA Focal Meeting 2023にて発表し、学習センターの運営方法や難民の子どもたちの取り得る教育経路、母語の継承などについて質問やコメントを得て活発な議論に繋がり、研究のブラッシュアップを図ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」のとおり、教師と運営者のロールモデルとしての役割を明らかにするための第一段階として、全学習センターを対象とした質問紙調査を実施し、十分と考えられる回収率にて、教師の人数や学位などの基礎データを得ることができた。また類型や難民の背景の異なる6ヵ所の学習センター(国際型、コミュニティ基盤型、イスラム寄宿舎、個別指導型など)にて綿密なインタビュー調査を実施し、初年度としては十分な質的データを得ることができたと考えている。 国際学会での発表において専門的な見地からの有益なフィードバックを得ることができたため、概ね当初の想定どおりの進展を得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は既存のデータ分析を進め、学会発表で得られた知見も参考にしながら、国内・国際学術誌への投稿を目指す。さらに現地調査を実施し、同一学習センターでの継続調査に加え、難民の生活の場(自宅や地元コミュニティ)での参与観察を実施する。
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