研究課題/領域番号 |
23K02202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
前馬 優策 広島経済大学, 教養教育部, 准教授 (00632738)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 効果のある学校 / 教育格差 / アフターコロナ / 学校文化 / 学力保障 / 教員文化 / 働き方改革 |
研究開始時の研究の概要 |
「教育的に不利だとされる階層的背景をもった子どもにも、一定の学力を保障している学校」は「効果のある学校」と呼ばれている。これまで「効果のある学校」論に関する研究が蓄積されてきたものの、コロナ禍・「働き方改革」といった現代的状況にいかに向き合うかという問いに対する答えはまだ出ていない。 そこで本研究では、「効果のある学校」を志向する学校において参与観察や教職員等に対するインタビューを行い、調査期間前後においてそれらの学校文化はいかに変容する/したのかを明らかにし、新たな「効果のある学校」モデルを提示する。
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研究実績の概要 |
コロナ禍における教育格差に関する文献レビューを行うとともに、「格差拡大に対抗する」という学校のあるべき姿について考察を行った。その結果見えてきたのは、日本において様々な形で「機会の格差」が指摘されてきたものの、「結果の格差」についてはそれほどまでに明確ではなく、そこに学校が果たした役割があるのではないかということであった。 あわせて、これまで社会経済的に不利な子どもに対する学力保障に取り組んできた地域において、校長、教頭、教務主任、研究主任、教育長、指導主事といった、教育委員会と学校(小学校2校、中学校1校)の関係者13名にインタビュー調査を行った。 学校によっても違いはみられるが、コロナ禍およびアフターコロナの学校において、リーダー層は以下のように問題をとらえていた。第一に、教員が家庭訪問に出かけられなくなり、家庭とのつながりが薄れているように感じること。これまで家庭との連携を密にとることで子どもを支えてきた部分があったが、その意義も含めて教員全体で取り組めなくなってきたという。第二に、コロナ禍対応において「失敗が許されない雰囲気」がある中、個々の教員の自由な裁量が低下し、一部の教員の士気低下にもつながってしまったこと。第三に、不登校生徒に対してICT機器を通じた対応がなされる中で、小学校と中学校の対応の違いが、特に小学生と中学生のきょうだいがいるケースにおいて、問題となりつつあることが挙げられた。第三の課題からは、「学校に行くこと」をめぐる価値観の揺らぎが、学力保障の取組に影響を与えるかもしれない可能性が浮かび上がってきた。 一方で、子どもたちの学力水準や格差の状況は、コロナ禍前後で大きく変化があったとは言えないということも聞き取りの中で明らかになった。その理由を探ることも今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
聞き取り調査が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、学校関係者へのインタビューを行う。2024年度は、対象となっている3校の教員あわせて15名程度へのインタビュー調査を行う予定である。あわせて、2023年度に聞き取りを行った対象者にも、随時フォローアップの情報収集を行う。 また、当該地域で行われる教員研修や小中連携のための会議などの場にも参加し、参与観察や意見交換を随時行っていく。 そして、年度末には中間発表として学校現場への調査結果のフィードバックを行うとともに、学会報告を行い、最終年度で行うべきことの精選と論点整理につなげていく。
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