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アジアからの教育の独自モデル構築ー日本の教育モデルとの双方的対話を通して

研究課題

研究課題/領域番号 23K02218
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09020:教育社会学関連
研究機関学校法人文京学院 文京学院大学

研究代表者

恒吉 僚子  学校法人文京学院 文京学院大学, 外国語学研究科, 特任教授 (50236931)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードTokkatsu / 日本型教育 / 教育トランスファー / 文化変容 / アジア
研究開始時の研究の概要

本研究は最初に体系的に国際化した日本の教育モデル「レッスン・スタディ」(授業研究)に続き、諸外国に採用・参照されるようになっているTokkatsuモデルに焦点を当てている。Tokkatsuモデルは「特別活動」から派生し、非認知的な教育やそれを入れた全人的な枠組みの教育モデルを指している。これを最初に民の領域で取り入れようとしてきたインドネシアとマレーシアにおいては、単にそれを「トランスファー」するのではなく、自らの社会文化的独自性をいかしたモデルの生成を試みるようになっている。こうしたプロセスを、国際社会における教育モデルの多元化の観点から関係者のインタビュー・観察調査を通して明らかにする。

研究実績の概要

「教育トランスファー」自体は新しいものではないが、従来は、その方向性は西欧先進諸国や国際機関から開発途上国や非西欧諸国へ貸与されるケースが多く、受け手側が自国の社会的資源を用いながら、独自のモデルを生成してゆく道筋が見えてこなかった。こうした中、本研究では、国際モデル化した日本のTokkatsu教育モデルを軸にして、このモデルを一番早く「民」レベルで学校に取り入れたマレーシアとインドネシアにおいて、その再文脈化を分析している。
2023年度においては、マレーシアにおけるTokkatsuの受け入れの一つの中心となってきたマレーシア国際イスラム大学教育学部において、「教育の人道主義化(humanizing education)」国際シンポジウムが開催され、日本のトッカツモデルもここに組み込まれ、本科研代表者も基調講演を行った。特に、イスラムにおけるRahmah(慈悲)と結びつける模索がされた(海外協力者:Mastura Badzis教授)。インドネシアにおいては受け入れ校の自治体の政策のキーワード、ナラティブを取り入れる動きが見られ、種類の違う小学校(キリスト教系とイスラム系)での受け入れの模索についてオンラインインタビューを行った(協力者:Tatang Surtano准教授)。
日本の教育モデルに関してこれらの社会の軸であるイスラムの枠組みを用いて再文脈化がどのように行われているのかを予備的に考えた章を執筆したり(恒吉僚子&藤村宣之『国際的に見る教育のイノベーション:日本の学校の未来を俯瞰する』勁草書房、2023年)、同テーマで受け入れ教員として引き受けたJICAの課題別研修において、異なるイスラム諸国やマレーシア政府とJICAが行っている本テーマを軸とした枠組みの導入例を見ながら、本テーマについての考察を深めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までの進捗状況としては、2023年度に行ったことを土台にして、研究に関連したいくつかの領域が同時に進んでいる。1)マレーシアやインドネシアでのインタビュー調査(継続)、マレーシアでの国際シンポジウム(実施済)の成果をまとめる作業(シンポジウムで発表した内容はマレーシア国際イスラム大学の出版会で章として執筆して提出済)、2)Tokkatsuモデルのトランスファーと受容、再文脈化を軸とし、日本の教育者と諸外国の教育者の相互協力体制を作りながら、実践的研究を推進する。Tokkatsuモデルより先に国際化した日本発の教育モデルにレッスン・スタディがあるが、その世界学会(World Association of Lesson Studies、WALS)に一昨年はマレーシアでTokkatsuモデルに関して基調講演(本科学研究費代表者)、シンポジウムと教育者によるワークショップを日本特別活動学会が協力する形で実施した。2023年には日本特別活動学会の教員への報告研修会が行われ、日本特別活動学会に国際交流委員会が設置された。その委員会を基盤にして、2024年度も日本の教師や先方の教育者を入れた実践的研究が推進されるべく、カザフスタンの上記学会WALSで学会の国際委員会が協力する形で既にWALSに提案している。急激な円安に対応するため、2023年度の経費の多くを2024年に繰り越した。3)日本の全人的な枠組みからの教育モデル(Tokkatsuモデル)を自分の国でいかそうとするイスラム圏とそれ以外の国からの研修員を対象にしたJICA課題別研修(2023年開始で3年)において、どのような形で自国での現地化(再文脈化)が可能であるかの考察を、研修とフィードバックを行いながら継続考察の予定である。以上の理由により、上記評価となっている。

今後の研究の推進方策

もともとの科学研究費の研究計画では2023年度はマレーシア国際イスラム大学で国際シンポジウムを行う際に筆者がマレーシアに行って情報収集するはずであったが、先方の日程がずれて筆者の学期中になり、結果として筆者はマレーシア国際イスラム大学での国際シンポジウムでの基調講演をオンラインで行い、オンラインで海外協力者のインタビューを行うと共に、現地調査は2024年度に延期した。日本側の関係者に行ったインタビューと共に調査分析を進めているが、その調査と分析は継続する。また、2024年度はさらに、イスラム的背景ではないが、イスラム諸国同様、全人的な人間形成の枠組みをもち(ロシア・モデル)、それゆえに、全人的な志向を持つ日本の教育モデルTokkatsuに関心を抱いていると思われる東欧諸国の一つとしてのカザフスタンでの再文脈化の過程を分析しながら、実践者・研究者を国境を越えて連携体制を作って実践的な研究協力体制を継続的に作れればと思っている。レッスン・スタディの2024年度の世界大会(WALS)が、全人的な枠組みを持つ点で日本と共通性があるとされるカザフスタンで開催され、そこに日本特別活動国際交流委員会(科研代表者は委員)の協力事業として日本の教育モデルTokkatsuの国際発信を位置付けて、実施予定である(日本の教育モデルTokkatsuシンポジウム、ワークショップとブース、現地教育関係者のインタビュー)。カザフスタンは遠方であり、円安による航空運賃の高騰によって高額であり、2024年度に現地調査をする形で2023年度はオンラインを活用して科研費を2024年度に使用可能な形にした。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] International Islamic University(マレーシア)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Indonesia University of Education(インドネシア)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 新グローバル時代における日本の教育(基調講演)2023

    • 著者名/発表者名
      恒吉僚子
    • 学会等名
      JICA中国地方、第二回国際教育研修会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 授業研究での世界学会でのTokkatsuデー(基調講演)の意図 「レッスンスタディ国際大会2022」の成果報告2023

    • 著者名/発表者名
      恒吉僚子
    • 学会等名
      日本特別活動学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] The Japanese Model of Holistic Education Lessons Learned、日本の教育 何が諸外国の関心を惹くのか?2023

    • 著者名/発表者名
      恒吉僚子
    • 学会等名
      文京学院大学、JICA共催
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Educating the total child:The Tokkatsu-Sogo approach to education (keynote)2023

    • 著者名/発表者名
      Ryoko Tsuneyoshi
    • 学会等名
      International Islamic University
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 国際的に見る教育のイノベーションー日本の学校の未来を俯瞰する2023

    • 著者名/発表者名
      恒吉僚子&藤村宜之
    • 総ページ数
      396
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      9784326299331
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] Tokkatsu

    • URL

      https://www.p.u-tokyo.ac.jp/~tsunelab/tokkatsu

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 一般社団法人グローバル多文化社会研究所

    • URL

      https://www.gmsresearch.net

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会・シンポジウム開催] Tokkatsu workshop2023

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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