本研究は、20世紀前半のメキシコにおいて、就学と労働とのはざまに生きる子どもやその家族の生活実態について、子どもの労働に焦点をあてて明らかにすることを目的とする。急速に近代化が進み貧富の格差が拡大するこの時代、就学年齢にある子どもたちのなかには、家計を助けるため、みずから生きるために労働せざるを得ない者が多かった。本研究では、こうした子どもたちがどのような環境のなか労働に従事していたのか、労働をどのようにとらえていたのか、メキシコの関係機関で収集する資料や文献をもとに、その労働実態を解明し、近代国家建設をめざす政府が、貧困のなかで働く子どもたちにどのような対策を施していたのかを検討する。
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