研究課題/領域番号 |
23K02233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
三山 岳 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (80582858)
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研究分担者 |
五十嵐 元子 白梅学園大学, 子ども学部, 准教授 (30468897)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | インクルーシブ保育 / 研修用ツールの開発 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的はどの子どもも保育から排除されない状態であるかを保育者自身が確認できる評価ツールを活用しつつ、保育者が主体的かつ自主的に、園の保育環境を整備・改善可能な保育カンファレンスを行える仕組みを開発することである。具体的な研究内容は、①インクルーシブ保育に関連して環境全般を評価する既存のツールを用い、保育カンファレンスでの応用可能性を検討する、②その検討を踏まえて社会的障壁のある子どもを対象とした保育カンファレンス用のツールを開発する、③開発したツールを用いて保育カンファレンスを実施し、その有効性を検証する、の3つである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はどの子どもも保育から排除されない状態であるかを保育者自身が確認できる評価ツールを活用しつつ、保育者が主体的かつ自主的に、園の保育環境を整備・改善可能な保育カンファレンスを行える仕組みを開発することである。 2023年度はインクルーシブ保育に関連する評価ツールで本研究が注目するSoukakou(2016)、本郷(2010)、金谷(2016)の評価シートやリストを保育者が自園の保育を評価して、保育カンファレンスを実施した。具体的には評価ツールごとに異なる園で評価を実施し、その結果をもとに園内研修をそれぞれ年に3回ずつ行った。 その結果の論文化を予定しているが、それに先立ってインクルーシブ・クラスルーム・プロファイル(Soukakou 2016)を用いた保育カンファレンスについては、日本発達心理学会でポスター発表を行った。また、本郷(2010)と金谷(2016)の評価ツール・リストを用いた保育カンファレンスについては、2024年度のヨーロッパのEECERAにおける年次大会のエントリー審査を通過し、発表準備を進めている。 また、Soukakou(2016)については開発者および出版社と連絡を取り、日本の保育現場での活用に向けた打ち合わせを始めた。それに先立って、日本の障害児保育の現状や、インクルーシブ・クラスルーム・プロファイルの開発意図などを互いに情報交換を行うことができた。また、日本の保育者には園での評価、カンファレンスの実施とは別に、プロファイルを日本で適応するために改善すべき点を検討する機会を持ち、本郷(2010)や金谷(2016)の内容も生かしながら、日本の保育現場にあった形で改善するための方向性を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は①インクルーシブ保育に関連のある園内環境の評価ツールを研修に用いた場合の有効性を確認するため、それぞれを別の園で実施し、その効果を検討する、②それらの結果を速やかに学会で報告する、という2つの目標を計画し、ほぼ予定通りに進めることができた。 一方で、今回の評価ツールの開発において主要な位置を占めているSoukakou(2016)の日本での活用に向けては、開発者と会合を持ち情報交換を進めているが、実際に開発者とともに英語圏でのトレーニングを受けたほうがよいという開発者の意向も明らかになった。このため、これらの活動を次年度以降に組み込む必要が出てきている。ただ、この必要性は保育現場でより有効性のある研修を行うために、開発者の意図を組んだ評価ツールを開発するという意味では、当初の計画よりもさらに精度の高い評価ツールとそれを生かした保育カンファレンスの検討を可能にすると考えられる。 以上のことから、当初の計画に新たに必要となった活動を組み込む必要性が出てきているものの、初年度としておおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、2024年度には自主シンポジウムの開催を含めた国内外の学会発表や、研究成果の論文発表を行い、保育現場でも前年度までに開発した新しい保育評価ツールを用いて、保育カンファレンスを複数の園で実施することになっていた。しかし、現在までの進捗状況でも触れたように、インクルーシブ保育に関連の深い園内環境の評価ツールの一つであるインクルーシブ・クラスルーム・プロファイル(Soukakou, 2016)については、開発者の意向も踏まえて、英語圏でのトレーニングを受ける必要が生じている。 このため、すでに新たな保育評価ツールの作成については、予備的な調査あるいはパイロット版の作成にとどめ、まず、インクルーシブ・クラスルーム・プロファイルの正確な運用に習熟してから、日本の保育現場に対応した保育評価ツールの作成に取り掛かる予定である。 以上のことから、2024年度は①2023年度の研究成果をEECERAで発表する、②インクルーシブ・クラスルーム・プロファイルの日本での活用に向けて正確な運用方法を習熟する、③インクルーシブ保育の環境を評価するツールの試案作成、およびそれを活用した適切な保育カンファレンスに向けた予備的な検討、を中心に進める予定である。
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