研究課題/領域番号 |
23K02247
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 川口短期大学 |
研究代表者 |
小林 佳美 川口短期大学, その他部局等, 講師 (80866335)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 分散型リーダーシップ / 保育のリーダーシップ / 保育労働 / 組織コミットメント / 変革型リーダーシップ / 職場定着 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は保育の担い手不足という社会的課題の解決に寄与することを目的に、保育施設における「分散型リーダーシップ」の測定方法を開発し、保育者・園長等を対象とした定量調査に基づく分析を行い、組織の内部でリーダーシップが分散化された状況の総和が、個々の保育者等の職場定着に及ぼす影響を検討するものである。加えて、このような園レベルの分散型リーダーシップの指標に影響を及ぼす、園長・主任といった公式のリーダーが発揮するリーダーシップの影響を検討し、園経営上の実践的、政策的インプリケーションの導出を目指す。
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研究実績の概要 |
2000年以降,保育のリーダーシップ研究の領域において「分散型リーダーシップ」が、保育者・職員の組織コミットメントや職務満足等の職場への定着指標を高める効果が指摘されてきた。しかし、「分散型リーダーシップ」と類似のリーダーシップ概念との弁別性の議論が充分に整理されているとは言い難く、測定方法の開発や定量的実証には研究の余地が残されてきた。本研究では、保育者確保のための職場定着という現代的課題の解決に寄与することを目的に、「分散型リーダーシップ」の測定方法を開発し、定量的調査と分析により、保育者等の職場定着に及ぼす影響を検討するものである。本科研の研究初年度にあたる本年度は、保育組織の分散型リーダーシップの現状を捉えるための実証的(暫定)定義の策定と、組織内で意思決定の主体が分散化された状況を捉える手法を解明することを目的に研究を進めた。 そこで分散型としての類似性が指摘されてきた変革型,インクルーシブ,シェアド・リーダーシップと分散型リーダーシップとの弁別性を先行研究分析によって明らかにし,日本の保育施設における分散型リーダーシップの実証的(暫定)定義を定位した.この定義に基づく分析視点,及び研究手法を参照するために,分散型リーダーシップの実証的研究のみを抽出するスコーピングレビューを行った。その研究プロセスは,2023年12月「日本乳幼児教育学会第33回大会」(於:名古屋市立大学)での口頭発表,及び『日本乳幼児教育学会第33回大会 研究発表論文集』(pp. 230-231)にて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は分散型リーダーシップを捉える指標、調査・分析方法についての検討を行い、分析枠組みを開発したうえで、予備的調査の実施までを計画していた。しかし学会での研究成果の発表により参加者から、日本の保育現場の実情をより的確に捉えるために意思決定の主体を保育者のみならず、子どもや保護者に拡大すること等、研究をより的確に進展させるための提案がなされた。それらのご提案を踏まえて新たな分析枠組みの検討や、調査協力者との調整・相談等が必要となっているため、当初予定よりも「やや遅れている」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえて、次年度は日本の保育施設に適応可能な分散型リーダーシップ、及び、公式のリーダーによる変革型リーダーシップを捉える測定指標の開発、及び調査手法の検討を行い、続く実証調査の準備として予備調査を実施したい。ただし、保育のリーダーシップ研究は日本に先駆けて、欧米、及び北欧での先行研究が多い。そのため、分析指標として海外の文献を参照せざるを得ない状況であったが、日本の園の実態を踏まえて、それらが適応可能であるか、予備調査の前に国際比較分析、及び国際学会での意見交換、さらに保育現場からのインタビュー調査を実施したい。
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