研究課題/領域番号 |
23K02260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
野崎 健太郎 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (70598573)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ペアレント・トレーニング / 認知行動療法 / 随伴性の感受性 / 機能 / 自閉スペクトラム症 |
研究開始時の研究の概要 |
発達障害のある子どもの養育に困難を感じている保護者に対し,ペアレント・トレーニングによる効果が示されている一方,子どもの行動問題が改善されない報告例も存在する。本研究では,保護者の養育行動獲得だけに終始せず,養育行動の結果である子どもの適応行動の変化までをも着目するという,養育行動の機能的側面に焦点を当てた新たなプログラムを作成し,その有効性を検討する。保護者がより親子相互の随伴関係に気付き,また適切に理解できるよう促す手続きを重視することで,子どもの状況や反応に合わせて機能的な養育行動を保護者自らで遂行することが可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究において、自閉スペクトラム症児の保護者を対象とした、新たなペアレント・トレーニングプログラムの開発とその有効性の検討を行っている。従来は、保護者の養育行動によって子どもがどのような反応を示し、それを保護者がどのように知覚し理解するかという相互作用的観点で、保護者の養育行動を捉えたプログラムが少なかったと考えられる。すなわち、保護者の養育行動獲得にのみ重きが置かれているため、たとえ多様な養育行動のレパートリーを保護者が獲得したとしても、その獲得した養育行動が子どもに対して機能的であるかまでは言及することはできない。養育行動のレパートリーが増えることと、それが子どもの不適応行動の減少に有効であるかどうかは区別して議論すべきである。また、プログラムの介入効果がプログラム実施直後の限定的な場面にとどまることが多く、介入効果の般化の問題も考慮する必要がある。ペアレント・トレーニングの訓練場面で保護者が獲得した養育行動が、実際の子育て場面ではうまく機能されていないことが多いと思われる。 そこで本研究では、2023年度は認知行動療法が重視する行動の「機能」、すなわち行動の目的ないし意図という観点から、親子双方向的な行動の随伴性を鑑みたプログラムの構想を立て、実際のペアレント・トレーニング時に使用するワークブックおよびワークシートの作成を行っている。親子の相互作用の中で生じる、親子双方の行動に関する随伴性の的確でスムーズな理解の促進、つまり随伴性の感受性を高める手続きをプログラムの構成要素に含めることによって、保護者の養育行動の選択および遂行が容易になることを狙う。具体的には、保護者の働きかけの結果として子どもがどのように反応を示したかを整理し、保護者の行動とその結果とのつながりを適切に知覚する保護者のモニタリングスキルを向上させ、機能的な養育行動の獲得を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の2023年度の計画としては、ペアレント・トレーニングで使用されるワークブックおよびワークシートの作成を完了させ、実際に保護者にそれらの有用性について評価を求めることとなっていた。現在、資料が効果的であるための内容調整を行っており、保護者による評価にまで至っていない状況である。そのため、当初計画に比べて研究の進捗はやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
まずはワークブックおよびワークシートの作成をすみやかに完了させた上で、実際に保護者にそれらの有用性について評価を求める。これにより、資料の信頼性を確保する。これを踏まえ、作成されたワークブックおよびワークシートを用いて、個別実施および集団実施におけるペアレント・トレーニングの有効性について検討を行うこととする。ペアレント・トレーニングには個別実施形態、集団実施形態があり、実施形態によりペアレント・トレーニングの有効性が異なる可能性も考えられるからである。目標対象人数は10名程度とする。効果評価はペアレント・トレーニング実施前、ペアレント・トレーニング実施後、ペアレント・トレーニング実施3ヶ月後にて行われ、1群事前事後テストデザインにて効果を検証する。
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