研究課題/領域番号 |
23K02263
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
広瀬 由紀 共立女子大学, 家政学部, 教授 (00425357)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | その子らしさ / 遊びや生活の充実 / 他児との関わり / 環境調整 / 保育者間の連携 / 共生社会 / 保育 / 幼児教育 / 保育実践 / 配慮 |
研究開始時の研究の概要 |
共生社会の形成に向けて、幼児期であっても障害のある子どもに対して差別や偏見のまなざしを向けることなく、包摂する関わりに至ることが望まれる。本研究では、障害のある子どもを取り巻く周囲の幼児に注目しつつ、関わりが包摂していく過程と保育実践上の具体的配慮との関連を明らかにすることを目的とする。具体的には、保育実践上の具体的配慮を多角的に明らかにすることを目指し、多様性を前提としている園で、①アイトラッカーを用いた保育者の実践中の「視線行動」、②実践写真スライド法を通した「実践認知」、③語りを通した保育者の「子ども理解とそれに基づく遊びの計画や展開」をそれぞれ調査する。
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研究実績の概要 |
本研究の主目的は、障害のある子どもを包摂する幼児間の関わりに至る保育実践上の具体的配慮を明らかにすることである。2023年度は、多様性を前提とする園の保育者の実践場面における「視線行動」ならびに「子ども理解と保育展開」を検討するため、以下の調査を実施した。 ①視線行動:多様性を前提とするA園の保育者に対し、ウェアラブル型アイトラッカー(眼鏡型の視線計測装置)を用い、集まりの時間における子どもおよびエリア別の総注視時間、平均注視時間、注視回数、視線の移動パターンを計った。また、保育後に自身の視線の移動パターンを見てもらいながら、その時々の考えや思いを振り返ってもらった。その結果、途中入室や離席などもあったが、保育者は特定の子どもに注視するのではなくすべての子どもに意識的に視線を向けながら集まりを進行していることが推察された。 ②子ども理解と保育展開:多様性を前提とするA園およびB園の年中を担当・担任している保育者各2名を対象に、定期的なインタビューを通して、障害のある子どもを含めた周囲の幼児の関わりの姿への理解およびその後の実践展開や具体的配慮の方向性を時間軸に沿いながら質的に分析している。2023年度の研究では、A・B両園に年度当初、部屋に入れない子どもがおり、その子どもに関わる語りを分析した結果、「その子らしく過ごすこと」を考えるまなざしと「集団での生活」を意識するまなざしを向けていることが示唆された。また、保育展開では、「入れない」ことに対して善悪の判断やネガティブな感情を含む働きかけをしない、「入れない」状況でも可能な行動の模索と提案・環境の調整、居られる場所で楽しめる遊びや活動を展開する、その子の好きな遊びを媒介に周囲の子どもたちとのつながりを意識して働きかける様子がうかがえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
保育者に対して、予定通りインタビューを実施することができた上、似たような状態を示す子どもに対する語りの分析を行うことができたため。 視線行動に関する調査は、回数が少なかったものの、年度内に始めることができ、機材の取り扱い等をはじめとして園や保育者と共通理解を図ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2023年度の研究成果を踏まえ、障害のある子どもを包摂する幼児間の関わりに至る保育実践上の具体的配慮について、さらに詳細な検討を進めていくことが課題となる。①視線行動に関する調査をA園・B園それぞれで、3期に分けて実施する予定としている。集まりというクラスの規範や慣習等が求められる場面で、それに大きな影響力を持つ保育者の視線パターンや時間等の客観的データを収集するとともに、その後の振り返りを通して視線の意図を質的に探る予定としている。②子ども理解と保育展開に関するインタビューも継続して実施し、特定の学年に関して障害のある子どもを包摂する幼児間の関わりの詳細を2年間縦断的に追うことで、その過程における保育者の思いや考え、具体的配慮を分析する。また同時に対象学年を変えて同じ調査を実施することで、共通点と相違点を検討する。そして、①②の研究成果を踏まえ、③写真スライド法を用いた実践認知に関する調査の実施に向けて、必要なデータの収集、調査先の選定等を具体的に進めていく予定である。
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