研究課題/領域番号 |
23K02281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮口 英樹 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (00290552)
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研究分担者 |
宮口 幸治 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (20706676)
石附 智奈美 広島大学, 医系科学研究科(保), 講師 (50326435)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 境界知能 / コグトレ / 発達障害 / 少年院 / 認知プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
再犯防止推進計画(2017~2022)では,7つの重点分野の一つに「一般就労と福祉的支援の狭間にある者の就労の確保」があげられている。この狭間にある者とは,具体的には発達障害等の傾向を示す者(境界知能者)を指し,特別な支援が必要であるとされるが,就労に向けたどのような介入方法がどの程度効果的かなど実証されていない。そこで,本研究では、少年院等で施行され一定の効果が得られている認知トレーニング(コグトレ)を活用・改良し,アセスメント方法を開発する。さらに,集団から地域社会でシームレスに実施可能なコグトレ課題をIT機器の活用を含めた包括プログラムとして試作、検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は, 発達障害等の傾向を示す者(境界知能者)を対象に,特別な支援が必要であるとされるが,就労に向けてどのような介入方法がどの程度効果的かについて集団から個別に繋ぐ就労支援を目標とした体系的プログラムの開発検証を行うものである。令和5年度は、1)境界知能者の就労における課題の構造化、2)少年院等で施行され一定の効果が得られている認知機能強化トレーニングおよび認知作業トレーニング,認知社会トレーニングの課題を活用・改良し、3)新たな認知トレーニングの検討を行った。 予備的研究介入の結果、介入後3か月、6か月の時点でも物語を記憶する論理的即時記憶課題では、有意な点数の改善が認められたこと、視覚記銘であるレイの複雑図形では即時記銘課題で介入後3か月後には有意な得点の向上は認められなかったものの、ベースラインから6か月後には有意な得点の向上が認められた。このことから、言語情報をストーリーとしてエンコードするプロセスが、視覚情報を取り込むプロセスに有効に作用する可能性が明らかになった。 今年度は、上記に加えてシームレスな社会復帰・就労支援を体系化するために、コグトレを用いたアセスメントをPC上で使用できるようにソフト化する開発を行った。このソフトには、小学6年生から中学2年生程度のコグトレ課題の成績を標準値として活用できるようになっている。令和6年度は開発したソフトを全国の複数の少年矯正施設で活用に繋がる研究を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れているとした理由は、研究代表者が令和5年前期に研究を中断せざるを得ない状況が生じたためである。そのため、少年院での研究スタートが遅れたことが大きな原因である。しかしながら、ソフトウェアの開発は、順調に進んでおり、次年度への影響はない。
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今後の研究の推進方策 |
新たな認知プログラムの開発・試行と効果検証が次年度の主な方向である。 1)COGET,COGOT,COGST を利用した最適プログラムの策定 令和5年度に得られた対象者の認知運動社会特性結果と新たに課題を反映し検討を行ったトレーニングを開発し,対象者が個別実施可能な最適なトレーニングの組み合わせを含めた試行プログラムを作成し,効果検証を行いながら少年院にて予備的試行を行う。プログラムは少年院の法務教官の負担度,時間的制約などを考慮し,トレーニングの頻度,1 回の施行時間,内容等を検討する。プログラムの作成には申請者,研究分担者,研究協力者に加え,広島県内の就労支援,就労移行支援事業所の作業療法士等にも意見をもらいながら進める。この目的達成のための打ち合わせは、すでに準備を進めている。 2)IT機器の活用を目的とした個別トレーニングシステム開発 1)で行った効果の検証結果をもとにプログラム修正を行うとともに,個別トレーニングを目的としたIT機器の活用を目的としたシステムの開発を検討する。この目的の達成のためにすでにソフトウェアの第一次段階の開発は終了している。令和6年度は、具体的な運用について検証する。
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