研究課題/領域番号 |
23K02330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山根 直人 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員 (60550192)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 乳児 / 歌いかけ / コミュニケーション / 母子相互作用 / 瞳孔径計測 / 脳反応測定 / 発達 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、歌いかけの持つコミュニケーション意図を乳児がどのように受け取っているのかを再検討し、その神経基盤を解明をめざす。そのために①眼球運動測定実験による歌いかけ動画・歌い手への注視・瞳孔径反応測定と②近赤外分光法を用いた歌いかけ動画に対する脳反応測定、③質問紙による気質調査を行う。この行動―神経-生理の3つのレベルからの検討を通して、乳児にとっての音楽の在り方に新たな知見を提案しようとするものである。また、これを明らかにすることで、保育・子育て・教育場面における教材研究や指導・保育方法に新たな知見を加えるとともに、療法や発達支援においても歌いかけの持つ新たな効果を提唱できると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究は、乳児が歌いかけの持つコミュニケーション意図をどのように受け取っているのかを明らかにすることを目的としている。これまでの検討から1)歌い手への選好は発達に伴って出現する。2)歌いかけ行動に対する選好は発達の早期から見られること、が明らかとなっている。この知見を踏まえ、本研究では先の実験デザインを精査し、その発達的様相を詳細に検討するとともに、神経基盤を脳反応測定より、個人差を気質調査から複合的に検討する。 本年度は、眼球運動測定装置を用いた歌いかけ動画および歌い手への注視・瞳孔径測定を行う予定であった。しかしながら所属機関の異動に伴い、実験設備・機材の整備に時間を割かれ、予定していた実験を実施することができなかった。代わりに既に得られたデータの詳細な解析および結果の学会発表を行い、これらを通して次年度以降に行う実験プロトコルの精査を行った。まず追加の解析の結果、上述の2点に加え、3)歌い手への選好は12ヶ月児のみに見られ5ヵ月児では見られなかったが、歌いかけ行動に対する瞳孔径の拡大は両月齢で見られることを明らかにした。この結果を国内学会において、ポスター発表を行った。また得られた新たな知見から、5ヵ月児の歌い手への選好が見られなかった理由が歌い手の顔記憶の困難さにある、または、歌い手への選好反応は言語や社会的刺激のそれと異なる、と想定することができた。そこで、顔記憶の困難さの可能性を検討するために、眼球運動測定実験の刺激に用いる歌い手の数を減らし、歌いかけ動画視聴の繰り返しを行うよう実験プロトコルを決定し、新たな刺激の作成及び実験プログラムの作成を行った。さらに、歌い手への選好と言語や他の社会的な刺激との差異を検討するために脳反応測定における測定部位の再検討を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は所属機関の異動に伴い、実験機材・設備の再設定や謝金の支払い等に関する事務処理の確認作業に多くの時間が割かれることになり、予定していた実験を実施することができなかった。しかしながら、現在あるデータの解析に時間を割いた結果、実験プロトコルの精査および新たな刺激の作成を行うことができた。これらを通して、予定している眼球運動測定実験と脳反応測定の双方の実験準備を一度に行うことができたため、次年度以降に円滑なデータ取得が行えると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に、眼球運動測定装置を用いた歌いかけ動画および歌い手への注視・瞳孔径測定と近赤外分光法を用いた脳反応測定の実験刺激・プロトコルを決定した。また新たな環境における実験環境及び事務手続き手順が整ったため、双方の実験を通したデータ取得を並行して行う予定である。また、これまでのデータの再解析によって得られた知見をこれまでの知見に加え、論文執筆および学会発表を行っていく。
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