研究課題/領域番号 |
23K02339
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
山田 篤史 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20273823)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | プリフォーマルな表現 / フォーマルな表現 / 割合指導 / 算数 / 説明の表現 |
研究開始時の研究の概要 |
算数の問題解決で児童がその方法や理由等を説明する場合,式のようなフォーマルな表現の使用には困難が伴いがちである。一方,教科書には比例数直線のようなプリフォーマルな表現もあるが,それらをフォーマルな式表現等に繋げていく指導・活動については研究知見が多いとは言い難い。そうした問題意識を背景に,本研究では,プリフォーマルな表現に基づく問題解決及びその説明を促す指導の好事例を発掘し,それを基盤に,プリフォーマルな表現を使った説明からフォーマルな表現を使った説明へと説明を洗練させる指導・活動の系列を構成しつつ,説明の表現の移行を促す指導に関する局所的理論を抽出することを研究目的としている。
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研究実績の概要 |
本年度は,小数の乗除と割合概念に関わる指導に焦点を当て,研究雑誌,商業誌における指導記録,指導事例集などをレビューし,児童が,問題場面に現れる諸量の関係の表現を問題解決・推論にどのように利用しようとしているかについて事例を収集しつつ,図などのプリフォーマルな表現を使った説明から式などのフォーマルな表現を使った説明へと問題解決過程の説明を洗練させる指導・ 活動の系列のプロトタイプについて考察した。 いくつかの文献を考慮すると,教科書や教室で提示される比例数直線やテープ図のようなプリフォーマルな表現から言葉や(言葉の)式などのフォーマルな表現へと説明の表現の移行を促すと考えられる指導では,古典的ではあるが「範例の提示」「範例の逐次的解釈」「表現間の対応付け教授」などが有効な指導方略として考えられたため,当初の学習指導の系列としては,それらの組合せを検討することにした。特に,児童がフォーマルな表現に基づく問題解決過程の説明につまずく場合については詳細に検討し,そうした場合には,いったん教師がフォーマルな表現に基づく範例的説明を提示し,対応付け教授によって,児童と共にプリフォーマルな表現とフォーマルな表現との対応関係を逐次解釈していくような指導を行うことで,プリフォーマルな表現の解釈をより深めさせ,その後,そうした理解を自己の表現に活用させるという指導(健全なプリフォーマルな表現の解釈や活用の仕方の理解を取り戻すための指導)の流れを構想した。これらの考察は,本年度の愛知教育大学数学教育学会誌『イプシロン』誌65巻にまとめられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,1年目にレビューを集中的に行い,2年目は,そのレビューとこれまでの表現研究及び説明指導の研究の知見等に基づいて,教科書に与えられる図などのプリフォーマルな表現を使った説明から(言葉の)式などのフォーマルな表現を使った説明へと問題解決過程の説明を洗練させる指導・ 活動の系列のプロトタイプを構成する予定であった。しかし,レビューの過程で,児童がフォーマルな表現の利用・理解につまずく場合の具体的な指導系列についてアイデアを得ることができたため,一部の結果を利用して具体的な指導系列について検討した。ただし,そうした結果は部分的なものであるし,表形式や比例の考えを利用した割合の問題解決の説明などのレビューが残っているのも現状である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は,先行研究や指導事例に関するレビューを継続させつつ,そうしたレビューとこれまでの表現研究及び説明指導の研究の知見等に基づいて,教科書に与えられる図などのプリフォーマルな表現を使った説明から(言葉の)式などのフォーマルな表現を使った説明へと問題解決過程の説明を洗練させる指導・ 活動の系列のプロトタイプを更に構成していく予定である。また,余裕があれば,児童の学習軌道を想定しながら,そうした指導・活動系列のプロトタイプの指導可能性などについても検討しておく。 最終年度は,2年目に構成したプロトタイプを,指導実践の過程に沿って児童の実態に即した指導・活動へと調整・修正していく。さらに,児童の説明の変容の記録などに基づき,そうした指導・活動の有効性や限界,児童の関係表現に基づく問題解決及びその説明の指導や困難性,より洗練された表現への説明の表現の移行などに関して,局所的理論を抽出していくことにする。
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