研究課題/領域番号 |
23K02342
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
奥谷 めぐみ 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20636162)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 倫理的消費 / 消費者教育 / 大学生 / 若年者 / 教材開発 / 持続可能性 / 教育プログラム開発 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、教員を目指す学生を対象に、学校における消費者教育の意義について理解を促すための教育プログラムを開発することを目的としている。教育プログラムは持続可能性を考慮した「倫理的消費」をテーマとして扱う。「倫理的消費」とは、自分の消費行動が社会や経済に与える影響を考慮して消費行動を行うことを指す。 プログラムにおいては自分たちにできる持続可能な生活実践について試行・評価したり、他者と交流するといったアクティブラーニングを導入する。本プログラムの意義は、社会の課題を分析する多角的な視点と、課題解決に向けた行動力を身につけた教員の育成に資するという点が挙げられる。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、大学生を対象とした倫理的消費に関するプレ調査、関連資料の収集と分析を行った。プレ調査ではA大学の学生53名の回答を得た(2023年10月実施)。調査結果から、何らかの環境配慮に関する行動を実践しているという問いに、9割の学生が肯定的な回答を選択した。しかし、エシカル消費という用語に対して、初めて知った、聞いたことがあるが意味は分からないという学生も同様に8割を超えていた。環境配慮に関する行動と、「エシカル消費」というキーワードが結びついていないことが懸念される。今後、倫理的消費(エシカル消費)という言葉に対する理解度の普及と、持続可能な社会の実現に向けた生活実践の普及とは分けて効果を検証したい。本研究では、特に後者に力点をおきつつ、生活実践が「倫理的」であると判断できる根拠を省察する教材の開発を進めていくこととした。 また、大分県の男女共同参画・消費生活センター発案の企画、「大学生によるエシカル消費セミナー」において大学生の探究活動の補助を担当した。大学生自身が選択した探求テーマ、活動から、倫理的(エシカル)の判断できる根拠を理解するためには、生産者とのつながり、生産の現場で起きている問題等の情報提供が必要であることが明らかになった。さらに、本事業にかかわった行政職員(10名)を対象に調査を実施(2024年1月)し、大学生のエシカルに対する関心の高まりを確認できたこと、また、大学生の活動を通じて関わった周囲の職員も日常生活でのエシカル消費(倫理的消費)に対する意識が高まったことが明らかになった。そこで、教材を通じて学生が実施した探究的活動を外部に発信し、広く市民をまきこむことで、消費者市民社会実現につながる産学官の連携の可能性も提案することができると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学生を対象としたプレ調査及び、行政職員に対するアンケートから、大学生を対象とした倫理的消費を扱った体験的・探求的活動の意義や、効果について示唆を得ることができた。また令和5年度に参加した国際会議(ARAHE)では、探求的活動のヒントとなるワークショップ教材などを入手することができた。行政職員のアンケートは、研究の計画段階では含まれていなかったが、関連事業への参画を通じて新たな知見を得ることができた。これらの成果について令和6年度以降、整理し公開を進めていく。 一方で、教材の試作を令和5年度中に完成させる予定だったが、この点については遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、A大学の「消費生活論」、「消費者教育」のそれぞれの講義を通じて、教材の試作とその効果検討を行う。また、令和5年度に得られた知見について、研究論文、学会発表の準備を進める。 効果の検討にあたっては、学生以外にも、教員及び消費生活センターなどの行政職員等、様々なステークホルダーにも協力いただき、大学の講義にとどまらず、若年者のワークショップや企業の新人研修など、様々な場面で活用できるような教材開発、ワークショップのパッケージ開発に着手する。
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