研究課題/領域番号 |
23K02347
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
根津 知佳子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (40335112)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ミュージッキング / 架け橋期 / 音楽的発達 / わらべうた / 遊び / 多文化 / 創造的音楽活動 / 幼年期 |
研究開始時の研究の概要 |
2022年4月に「幼保小の架け橋プログラムの実施に向けての手引き(初版)」が提示され、5歳4月から小学校1年生3月までの2ケ年を「架け橋期」としたカリキュラム開発や体制づくりが開始されることになった。これにより表現および音楽科に関しても、5領域と音楽科や生活科との接続を視野にいれたカリキュラム開発が急務となっている。 本研究では、クリストファー・スモール(1998)の「musicking(ミュージッキング)」の概念に着目し、異なる校園種の垂直的・水平的連携を視野に入れた「架け橋期」の音楽的な発達課題を明らかにし、モデルとなる活動案を創出することを目指している。
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研究実績の概要 |
近年、表現および音楽科に関して、5領域(幼稚園教育要領)と音楽科や生活科(学習指導要領)との接続を視野にいれた「架け橋期」のカリキュラム開発が急務となっている。 本研究は、クリストファー・スモールの「ミュージッキング」に依拠した実践分析を通して、架け橋期の音楽的な発達課題を明らかにし、モデルとなる活動案を創出することを目的としている。「その場に集うすべての者が音楽に参加し、音楽を共有し、音楽に貢献している」というスモールの理念は、本研究の実践形態である「創造的音楽活動」や「音楽療法的アプローチ」と一致するものである。そこで2023年度は「遊びから学びへの移行」としての音楽表現の実態調査を企図して「わらべ歌収集ワークショップ」を実施し、のべ23名を対象とした音声データを蓄積・分析した。その際、わらべ歌を「日本語を母語とする子ども達によって口伝えに歌い継がれてきた遊び歌」と規定し、小泉による 10 分類(1969)に依拠して整理したところ、子どもたちの表現に生活世界が反映され文化の成長過程が投影されていることが照射された。 イタリアのボローニャ市立サラボルサ児童図書館の「わらべうた収集プロジェクト(POLPA)」の関係者との意見交流を経て「遊びから学びへの移行」と「学びから遊びの往還」の発達的様相についてユーリア・エンゲストロームの活動システムのモデル(1998)によって可視化し、我が国の独自のあそび文化やその伝承方法を確認することができた。さらに「うたとしてのわらべうた」から「言葉としてのわらべうた」への捉え直しの作業によって、従前のわらべうた研究の対象となりにくかった現代の「子ども文化」を掬い集めることができる可能性を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、架け橋期固有の音楽的発達課題に焦点を当て、モデルとなる活動案を創出することを目指している。2023年度には、活動モデルのひとつとして「わらべうた収集ワークショップ」を開催し、幼児期から小学校にかけての音楽教育の課題を検討することができた。高等教育機関の社会連携の一環として位置づけられているこのワークショップのデータや方法ついて、イタリアのボローニャ市における活動との比較検討を行うことができた。データのうち15件は「RimPOLPA Itabashi」として、ボローニャ市立児童図書館のホームページ上で公開されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、就学前の音楽活動の多様性についての調査を進める一方で、2023年度に新たな比較対象となったイタリアの音楽活動についての調査研究を進める。特に、イタリアの就学前のわらべ歌活動とアートの融合については、2023年度の調査で新たな研究テーマとなったものである。 教育・保育・療育のフィールドにおける「架け橋期の課題」についても、引き続き調査予定である。
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