研究課題/領域番号 |
23K02350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 新潟青陵大学 |
研究代表者 |
本間 優子 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 准教授 (40410253)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 軽度知的障害児 / 自閉スペクトラム症児 / 役割取得能力 / 自立活動プログラム / ICT |
研究開始時の研究の概要 |
特別支援学級に在籍する児童の約9割は,軽度知的障害児・自閉スペクトラム症児である。両障害種に共通する課題として役割取得能力の発達段階の低さに伴う,社会適応の困難さを挙げることができる。両障害種は重複することも多いが,両障害種に対応できる特別支援学級における自立活動プログラムは未開発である。本研究は軽度知的障害児・自閉スペクトラム症児の両障害種に実施可能で,一人ひとりの実態に合った,特別支援学級の自立活動におけるエビデンスをもった,ICT教材を活用した新たな教育プログラムの開発と活用法の提案を行うことを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は小学校特別支援学級にて、計画1の軽度知的障害児を対象とした役割取得能力トレーニングの効果検証の実施を行った。具体的には、軽度知的障害とASDを伴う児童3名(A、B、C)を対し、「こころえほんアプリ その1」(計4課題)および付属するワークシートを用いて、自立活動として週1回1課題のトレーニングを計4回(1ヶ月間)行い、役割取得能力および適応面への効果検証を行なった。役割取得能力については、介入前後に荒木(1988)による木のぼり課題への回答により発達段階を評価し、適応面については授業不参加行動 (全3項目)、規則遵守行動 (全3項目)、向社会的行動尺度 (全4項目) を評価した。結果については、児童Aについては介入前の発達段階は段階0Bであったが、介入後は段階1に促進し父が主人公を心配する気持ちを理解し、言語化できるようになった。適応面に対する行動評定についても、授業不参加行動は、介入前M=3.33→2と改善し、規則遵守行動、向社会的行動についてもそれぞれM=4.00→4.67、 M=3.00→4.00と改善した。B、Cについても同様に、介入前の発達段階は各々の児童共に段階1であったが、介入後は共に段階2に促進し、父親の立場に立った上で主人公の気持ちを理解し、それを言語化できるようになった。行動評定についても、授業不参加行動は改善(BについてはM=2.67→2.33、Cについては3.33→3.00)、向社会的行動についても改善が示された(BについてはM=3.50→4.50、Cについては2.50→3.00)。さらに、「こころえほん」を用いたトレーニングについて、教師用にわかりやすくまとめた小冊子「こころえほんトレーニングガイド」を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
期間終了までの本研究の計画は、計画1.小学校特別支援学級に在籍する軽度知的障害児を対象に役割取得能力トレーニング用デジタル絵本アプリ「こころえほん」を用いたトレーニング実践を行い,効果検証を行う。計画2.トレーニング時の映像解析を行い,教材の相違(ICT教材/紙芝居)による対象児の主体性・能動性の相違を解明する。計画3.得られた知見を反映させ,①特別支援学級での自立活動におけるICT教材を用いた役割取得能力トレーニングのプログラム開発②一人ひとりの実態に合った活用法の提案を含む,教師用の実践マニュアルの作成を行う の3点であった。このうち初年度である2023年度には計画1および計画3の一部(トレーニングマニュアルの作成)の遂行を完了しているため、研究は順調に進行していると判断し、おおむね順調に進展していると評価した。計画2については今年度,データ収集予定である。研究成果の学会での発表も順次行っており、2023年度の成果で未発表のものも、2024年度中に学会で発表ができるように準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
計画2のトレーニング時の映像解析を行い,教材の相違(ICT教材/紙芝居)による対象児の主体性・能動性の相違を解明する。また、計画3の①特別支援学級での自立活動におけるICT教材を用いた役割取得能力トレーニングのプログラム開発についても、プログラム開発の準備を進めるため、現場教員との打ち合わせを行う予定である。
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