研究課題/領域番号 |
23K02357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
牧野 智彦 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (10450157)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 未完成な証明 / 証明の教授活動 / 命題の認識値 / 命題のステータス |
研究開始時の研究の概要 |
国内外において証明の学習状況の改善は今なお見られない.そこで,本研究は,「生徒による未完成な証明の生成過程をどうすれば改善できるか」という問いを設定し,次の3つの課題を解決することを目的とする. 課題Ⅰ:生徒は未完成な証明について,どのような認識を持っているか. 課題Ⅱ:生徒がどのような活動に従事すれば,未完成な証明を生成する「認識値」が改善するのか. 課題Ⅲ:生徒がどのような活動に従事すれば,未完成な証明を生成する「ステータスの理解」を改善することができるのか. 上記の課題を解決するために,複数校の中学生のペアに対する調査を実施し,未完成な証明の生成過程の改善を促す教授活動を明らかにする.
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研究実績の概要 |
2023年度における研究実績は大きく分けて3つである。一つは,未完成な証明の一つである「飛躍のある証明」の生成過程の解明を目指し,中学3年生18名(ペア9組)に対して半構造化の課題ベースインタビューを実施し,未完成な証明を生成するグループが持つ「認識値」を探った。その結果をまとめ,8月末に学術誌へ投稿した。 もう一つは,本研究で着目する「未完成な証明」の数学教育学研究,とりわけ証明研究での位置づけを明確にする作業に取り組んだ。未完成な証明は原則的に言えば完成に至っていない証明である。この種の証明は完成の程度が様々である。本研究の立場を明確にするために,改めて,完成に至っていない状態の証明に関する先行研究を整理し,本研究で焦点を当てる「未完成な証明」の概念の内包と外延を明確にして,本研究の「未完成な証明」を規定した。 最後に,中学3年生のペア2組対する実験データの分析から,様々な程度の飛躍を含む証明を読んで改善点を指摘する活動に取り組んでいく中で,証明の中の飛躍について,生徒の認識値が徐々に改善される生徒の様子が見られた。その一方で,なかなか改善されない生徒も確認できた。また,命題のステータスの理解を促進するために,逆転推論を含む証明を読む活動も設定した。推論に逆転があること,一つの証明に同じ命題が記述されていることはおかしいことには気づけるようになっていったが,その証明を修正することは難しい様子が見られた。教授実験と通じて,未完成な証明の問題点に徐々に気づくことができるようになるが,実際に改善はなかなか難しいことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度に調査を予定していた学校の協力教員が定期異動のため予定していた学校での調査が実施できなかった。異動先の学校は異動したばかりということもあり,調査が実施できなかった。 2023年度末に確認したところ,2024年度は調査実施は可能であるとの連絡をもらっている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の実験結果を踏まえて,2024年度は新たな中学校での実験を計画し実施する。その際には,証明の中の飛躍を生み出す認識値及び命題のステータスの理解のそれぞれを改善する教育的介入を考案し,実施する。 2024年度後期から2つ目の中学校での実施も計画されているので,調査実施について担当教員とのミーティングを開始する。
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