研究課題/領域番号 |
23K02367
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
小笠原 拓 鳥取大学, 地域学部, 教授 (20372675)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 戦前期中等教育 / 国語教科書 / 教材編成 / 教科書検定制度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦前期の中等学校制度を踏まえ、複線型の教育制度下における国語教科書の教材編成原理について、歴史的に調査し検討を行うものである。中学校・高等女学校・師範学校・実業学校という異なる学校種において用いられていた国語教科書が、それぞれどのような教材を掲載していたのか、学校種の間にどのような違いが存在したのか、その同一性や相違点は、歴史のなかでどのように変化したのかという点について、具体的な教科書をもとに検討する。戦前の中等学校では検定教科書制度によって教科書が発行されていたことも踏まえ、特定の著者による教科書群を抽出し、その教材編成の在り方を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は戦前期の中等学校国語科教科書について、なかでも最も多くの教科書の執筆に携わったと考えらえる吉田彌平に着目し、彼の執筆した教科書を通じて、特に検定期における中等学校国語科教科書の全体像の把握を目指すものである。 これまでの研究において、中等学校の国語科教科書の研究は、国定教科書であった小学校と比較して、検定制度のもとで出版が行われていたこともあり、十分に研究が行われてこなかった。特に教科書の出版状況に対する理解が十分ではなく、これまで行われてきた数少ない研究においても、正確な出版状況の把握が行われておらず、結果として、戦前期の中等学校教科書における教材の採録状況を正確にとらえきることはできていなかった。 近年、中等学校の国語教材の在り方に関しては、古典領域の扱いなどに典型的に見られるように、各方面からさまざまな意見が投げかけられている。国語科教材の在り方について、各方面の専門家から意見が出されることは、非常に有意義なことではあるが、その議論は歴史的な経緯を十分踏まえた上で行われることが、極めて重要であると考える。 そこで本研究では、戦前期中等学校の国語科教科書の出版状況と、そこに掲載された作品の採録状況の調査を行うこととした。但し、すべての教科書について調査することは現実的に困難であることを踏まえ、当時もっとも流通したと考えられる教科書群に着目することにより、効率的かつ具体的に、戦前期の国語教科書の出版と編集の実態把握を目論んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はまず、これまでの研究を踏まえた上で、今回着目する、吉田彌平執筆による教科書群がもつ意義について、検討した。結果として、彼が関わった教科書群は、検定期に出版された多くの中等学校国語科教科書の典型を示すものとして、かつ、中学校・高等女学校・師範学校という各学校種の比較が可能な資料になりうることを指摘した。 そこで次なる作業として、検定期に出版された中等学校国語教科書のうち、検定を通過したものについて調査し、それらをデータベース化した上で、その中から吉田彌平が執筆したものを抽出した。次にそれら吉田執筆による教科書の目次を精査し、その作品採録状況について検討・考察した。具体的には、近古以前の古典作品の採録状況について、明治期、大正期、昭和期の中学校で使用された教科書における変遷を調査・分析した。さらに昭和期については、高等女学校および師範学校における教科書とも比較し、近古以前の採録状況に関する各学校種間の差異について、考察した。 結果として、明治・大正期と昭和期の間には、同じ中学校教科書でも採録作品に大きな違いがあることが明らかとなった。また中学校、高等女学校、師範学校の間でも、それぞれの学齢や性別などに対応する形で、採録作品に違いがあることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
目次の検討を行った教科書は、調査を予定している吉田執筆による教科書群の一部に過ぎない。そこで来年度以降は、残された教科書について、分析するとともに、それらの結果をデータベース化することによって、より多角的に採録状況の分析ができるようにすることを目指したい。 また、教科書作成に関わった吉田達の学問的背景や国語科観について調査し、彼らの執筆した教科書が、どのような理念や思想に基づいて編集されているのか、採録作品決定のメカニズムを具体的に明らかにしていきたい。
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