研究課題/領域番号 |
23K02373
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
中松 豊 皇學館大学, 教育学部, 教授 (00456617)
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研究分担者 |
澤 友美 皇學館大学, 教育学部, 助教 (60881331)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | EVE配列 / 教材開発 / カリヤサムライコマユバチ / DNA / 高等学校 / 生物 / アワヨトウ / ポリドナウイルス / EVE / 遺伝子 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
カリヤコマユバチ(ハチ)の卵巣内の限られた領域だけでEVEであるPDVの遺伝子が発現し、PDVの粒子が作られる。PDVはハチ寄生時に卵とともに寄主の体腔中に注入され、その後寄主の血球や脂肪体に進入してCky811というC-typeレクチンを生成し、寄主の白血球を制御することによってハチの卵や幼虫を寄主の免疫から守っている。本研究ではこの過程において、寄主の免疫作用およびPDVによる免疫作用を制御する実験教材、ウイルスの抽出と形態観察ができる観察教材、寄主血球におけるPDV進入とC-typeレクチンの発現が目視できる高等学校または大学教養レベルの観察・実験教材の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
令和5年度は検討の結果以下の結果を得た。まずは材料として使用する昆虫種の検討であるが、チョウ目昆虫であるアワヨトウ幼虫(寄主)に寄生する寄生蜂カリヤサムライコマユバチ(ハチ)が妥当であるとの結論に達した。理由はカリヤコマユバチの雌蜂の卵巣にはカリックス部という部位が存在し、そこでポリドナウイルス(PDV)が産生される。このポリドナウイルスはハチが産卵する際に、卵とともに寄主体内に移動し、寄主の血球や脂肪体に侵入し自らの遺伝子を発現させタンパク質を生成することがわかっているからである。現在考えているターゲットの候補の一つはCky811という、特定のタンパク質を認識するC型レクチンというタンパク質である。 この遺伝子を発現させるためには寄主に異物を注入しなければならない。現在当研究室では寄生蜂の幼虫かセファデックスビーズを、アワヨトウに移植しているのでこれらを候補として挙げておきたい。移植方法については教科書に記載されているシリンジによる注入が妥当であると考えている。 最後にPDVの抽出とウイルス粒子の観察法およびこの粒子がDNAを持っていることを示す方法の検討であるが、PDVの抽出については当研究室で確立されているが、高校生には難しいと考えられるので、現在はハチの腹部だけを分離し、乳鉢に入れて生理食塩水またはPBSの中ですりつぶし抽出する方法を考えている。ウイルス粒子の観察法およびこの粒子がDNAを持っているか否かの観察法については、ハチが寄生した寄主を解剖して脂肪体を取り出し、RNAの抽出およびPCR法を用いて、Cky811遺伝子の増幅を行った後、アガロース電気泳動を用いてCky811遺伝子を可視化する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の計画は、1.材料として使用する昆虫種の検討、2.アワヨトウ体内に移植する異物とその移植方法の検討、3. PDVの抽出とウイルス粒子の観察法およびこの粒子がDNAを持っていることを示す方法の検討である。 1に関しては当研究室で継代飼育している、アワヨトウ(寄主)とカリヤサムライコマユバチ(ハチ)を供試する予定である。寄主もハチも常時すべての発育段階を維持しているので、この研究の材料として常時供給できるようになっている。 2に関しては、当研究室で移植する異物として、ハチの幼虫とセファデックスビーズを用いている。セファデックスビーズについては市販されているので、汎用性が高いと考えられる。また、これらを寄主にマイクロキャピラリーを用いて注入するが、これはあまり一般的ではないので、食作用の観察・実験に使用する、シリンジが適当であると考えられる。 3に関してはこれから行う予定になっているが、ウイルスだけを抽出し、核をヘキストで染めてみる予定になっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の計画がおおむね順調に進んだので、令和6年度は当初の計画通りに進めたいと考えている。令和6年度の計画は1.ウイルス粒子とアワヨトウ体内におけるウイルス粒子の可視化、2.PDVに感染したアワヨトウ血球の採取方法の検討、3. アワヨトウ血球に感染したPDV遺伝子の解析である。これらを遂行するために以下のような方法で、代表者、分担者、協力者が担当する。 1についてはあらかじめハチの体内からPDVを抽出したときに、ヘキストによる蛍光染色を行い、これを人工的に寄主に注入し一定時間経過すれば、このPDVは脂肪体に感染するので、寄主から脂肪体を取り出し、自作の簡易蛍光顕微鏡で観察することにより、識別することができるものと考えられる(中松、澤担当)。 2についても1と同様に蛍光染色したPDVを、人工的に寄主に注入し、一定時間後に血球を採取した後、蛍光顕微鏡で観察する。そのとき、どの血球種にPDVが感染しているかも同定する(松谷、中松、澤担当)。 3についてはPDVが感染した血球を集めて、Cky811の遺伝子が発現しているか否かを、遺伝子を抽出し電気泳動を行うことにより可視の検討を行う。(奥村担当)
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