研究課題/領域番号 |
23K02380
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
石森 広美 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50965746)
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研究分担者 |
阿部 始子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00449951)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Small Talk / 異文化間能力 / 異文化コミュニケーション / 小学校英語教育 / 国際理解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、進展するグローバル化・多文化化に対応し、異文化間能力を育む視点から新たなSmall Talk(英語の授業で教師と児童生徒が活動する際の短い会話)を開発し、小中学校等で活用できる教材Small Talk集として共有化するものである。教科書等に例示されるSmall Talkの会話や話題を異文化間能力の視座から見直し、多文化接触のリアルな状況等を加え、相手意識をもった言語活動の柱として、多様な文化背景をもつ他者との異文化間コミュニケーション能力の育成に資するツールの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、英語教育の接続を意識しながらその入り口となる小学校外国語科を中心に異文化間能力の向上をねらいとしたSmall Talkの教材の開発と共有化を目的とする。 2023年度の主な取組は以下の通りである。1)異文化間能力と英語教育の関連についての文献・教科書研究、2)小学校における異文化間能力育成のためのSmall Talk例の考案(特に宗教文化理解に焦点を当てた異文化理解への気づき)と現職教員からのフィードバック収集(成果は①学会発表)、3)宗教文化理解に関するSmall Talkの小・中学校における試行的実践と質的データ(児童の振り返りおよび教師のフィードバック)の収集(成果は②学会発表と③学術論文執筆)、4)学会での公開講座での発表(④)、5)研究協力者(小学校外国語専科教員・外国語指導助手(ALT)との複数回にわたるSmall Talkについての実践授業の観察と研究協議、Small Talk例の提案の検討等が挙げられる。 【主な成果】「多様性の尊重を意識したSmall Talkの検討」第48回全国英語教育学会、②The Korean Society of Education for International Understanding The 24th International Conference「Designing “Small Talk” aimed at promoting ICC in English education in Japanese elementary schools」、③「小・中学校の英語教育における宗教文化理解を視野に入れた異文化理解促進のためのスモール・トークの活用」(北海道教育大学紀要第76巻)、④日本国際理解教育学会研究・実践委員会主催「外国語と国際理解教育プロジェクト」公開研究会
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進んだ理由は主に3点ある。①本研究の第一段階である異文化間能力と英語教育との関連性に関する概念検討と小学校英語教科書の批判的分析を予定通り進めることができた点、②研究協力者である現職の小学校外国語専科教諭と外国語指導助手(ALT)との連携の下、実践事例を蓄積しつつある点、③学会発表や学術論文執筆など成果の一部を公表できた点、である。 ①に関して、採択率が最も高い小学校外国語教科書(NHE5,6)を異文化理解の視点から批判的に分析しその特徴を見出した一方、2024(令和6)年度から教科書が改訂されたことから、再度比較検討を行う必要性が生じている。②に関して、研究協力者である外国語専科教諭とALTとの複数回にわたる研究協議および提案したSmall Talkの実践授業の観察と検討会を実施し、異文化間能力育成に資すると思われるSmall Talkの例を一定程度蓄積することができた。③に関しては、学会発表や論文執筆を年間スケジュールに位置づけることにより自らが進捗を把握することができ、断片的ではあるが成果公表を行うことで次の方向性を確認することにつながった。 しかし、次のような課題も浮上している。第一に、実践したSmall Talkによって児童に何らかの変容が生じているのか否かについてのデータはまだ得られていないことから、今後その点について検証していく必要があることである。また、主に小学校をフィールドに進めてきたことから、今後は中・高にもつなげていく視点をより意識していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
異文化間能力の向上をねらいとした小中高をつなぐSmall Talkの教材の開発と共有化のためには、1年目のSmall Talk例を基盤に、今後は次の3点に注力し本研究を推進していきたい。①さらなるSmall Talkの例を考案、②児童生徒からのデータ収集、③自己評価シートの開発、である。 ①に関しては、(1)教科書に沿った単元別と(2)諸行事や学校行事と絡めた歳時別、の2領域に分けて世界の多様性を反映させたSmall Talk例をさらに考案していかなければならない。その際、小学校高学年を主軸にしつつも、中学校への接続、さらには高校まで活用できるコンテンツを開発していく必要がある。②に関しては、考案したSmall Talkによって児童生徒の学びにいかなる影響をもたらしたのか、学習者サイドからのデータ収集が不可欠となる。③に関しては、今後広く共有化を図るためのツールとして、英語コミュニケーション力と異文化間能力を反映させた自己評価ワークシートの開発を目指し、研究協力者によるアクションリサーチに伴走しつつ、密な連携を図りながら進めていきたい。 2024年度は、研究を推進するにあたり、1)日本国際理解教育学会、2)国際学会(6th World Conference on Education and Teaching)、3)小学校英語教育学会、3) 新英語教育研究会全国大会、等での発表を予定している。また、開発したSmall Talkの汎用性と実用可能性を高めるため、小・中の英語教員による試行的実践と検証をより積極的に展開していく。
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