研究課題/領域番号 |
23K02392
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
山中 仁 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90725011)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 接弦定理 / 円周角の定理 / 数学的モデリング / 証明 / 体系 / 定義・定理・証明 / RME / Emergent modelling |
研究開始時の研究の概要 |
抽象性・体系性は数学の特徴的性質の1つであり、諸科学への幅広い応用をもたらす。一方、数学の学習においては、抽象性は(特に単元の導入部分において)子どもが難しさを感じる原因の1つとなっている。この点に対する方略として、抽象的なものを直接的に把握するための手立てを明確化すること、並びに、現実事象を用いた抽象性の大幅な緩和が挙げられる。この2つは共に重要な方略であるが、中学校、高等学校と進むにつれ、後者の方略は採用されない傾向にある。本研究では、中学校・高等学校における数学の学習を後者の観点から研究し、抽象性の緩和及びその効果を実証的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度は,単元内容の1つである接弦定理や円周角の定理の証明を現実事象に関する数学的モデリングを通して学ぶための教材を開発し,中学校第二学年の生徒を対象に授業実践を行った。先行研究でも,接弦定理や円周角の定理を探求的に取り扱うものはいくつか存在するが,それらは定理の発見にしか及んでいないものが多く,定理の証明の発見に寄与しているものは数少ない(より一般に,概念学習型数学的モデリングの研究自体が僅少である)。それゆえ,何かしらの探求活動を行った後,そこで発見された数学的事象を証明する段階ではまた別の方針のもとに別の活動が行われることが多く,定理の発見と証明の発見が分断される傾向があることが指摘できる。それ自身は必ずしも悪いことではないが,時間的な制約を考えても,定理の発見と証明の発見が1つの問題解決過程の中で実現されることが本研究課題においては重視される。
今年度開発した教材はその点をみたしたものになっており,中学校第二学年を対象とした実践授業においても,光の反射という理科における既習事項をもとに,生徒自らの手によって,接弦定理の発見やそれを証明するための補助線の創出され,それをもとに生徒が接弦定理の証明を発見し得ることが実証的に明らかになった。この実践結果を論文の形にまとめ、査読雑誌に投稿するとともに,その概要を2024年3月17-18日に大阪公立大学において行われた数学教育学会春季年会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の予定であった「授業実践」「論文執筆・論文投稿」「研究発表」を済ませることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
モデリングを通して,定理の発見だけでなく定理の証明の発見にまでたどり着くような授業を構成することが期間全体を通しての目標であるが,実践事例が僅少であるため,具体的な教材作成を行うだけでなく,実践事例を増やしていくことから始めていく必要がある。また,一般的にいって教材が難しくなりがちであるので,その点を解決する必要がある。
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