研究課題/領域番号 |
23K02401
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
稲田 結美 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (30585633)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 女子 / 理科教育 / 理工系進路選択 / 中学校理科授業 / ジェンダー |
研究開始時の研究の概要 |
日本の高等教育における理工系分野のジェンダーギャップの背景には、中等教育段階での女子の「理科離れ」と「理工系進路選択への忌避」がある。本研究では、女子の理科離れを改善し、理工系への進路選択を促進するための中学校理科授業における方策を開発することを目的とする。そのために、女子の理科離れと理工系進路選択の忌避の両方の要因を明らかにし、その負の要因を克服しうる方策を、海外の先行研究やキャリア教育の成果等を参考にしながら、中学校理科授業において開発・実践・評価する。そして、教育現場の教師が女子に配慮した理科授業を独自に開発できるように、開発の視点や指針を整理・総括して提示することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、女子の理科離れを改善し、理工系への進路選択を促進するための中学校理科授業における方策を開発することを目的としている。そのために、女子の理科離れと理工系進路選択の忌避の両方の要因を明らかにし、その要因を克服しうる方策を、海外の先行研究やキャリア教育の成果等を参考にしながら、中学校理科授業において開発・実践・評価する。さらに、教師が女子に配慮した理科授業を独自に開発できるように、開発の視点や指針を整理・総括して提示することを目指している。 本研究は4段階で進めていく計画であり、初年度の令和5年度には第1段階として、女子の理科離れの現状を明らかにした。一般的な公立中学校の生徒を対象に、理科学習に対する意識や態度等を質問紙調査等から解明した。その結果、注目すべき点として、中学校3年間での理科学習の進行に伴い、女子の理科嫌いは増えているものの、その理由や理科への印象は、男子と大きく異なるものではなく、部分的には女子の方が好意的・積極的であることが明らかとなった。ただし、「理科は難しい」というイメージが男子よりも女子に増えていることから、そのイメージを軽減するための方策が求められる。また、女子が最も苦手とする電流単元については、自身に身近な課題であれば、男子と同等あるいはより積極的に取り組めることが明らかとなった。授業で扱う題材や活動の工夫によって、女子の学習を促進できる可能性が示唆された。これらの結果は、日本理科教育学会全国大会において発表した。 また、女子の理工系への進路選択の促進に成功しているスーパーサイエンスハイスクール2校の理数系教員との意見交換の機会をもつことができ、促進のための方策開発への示唆も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
女子の理科離れの現状とその要因については、質問紙調査から明らかになったものの、理工系進路選択への忌避の要因については、中学校段階では進路選択をまだ具体的に考えていない生徒が多いために判然としなかった。そのため、質問紙調査に加えて、インタビュー調査や、中学生だけでなく高校生を対象とした調査も実施する必要性が出てきたため。当初の計画よりも要因分析により時間がかかることが明らかになったため、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、第1段階の調査内容や対象者を拡大して、女子の理科離れと理工系進路選択忌避の要因分析を引き続き進めていく。具体的には、進路選択の希望や理由をインタビュー調査で詳細に聞き取ったり、中学生だけでなく高校生や大学生にも調査を実施したりする予定である。あわせて、第2段階として、女子の理科学習に対する意識・態度を改善する方策の開発と、女子の理工系進路選択を促進するキャリア教育を導入した方策の開発を同時並行で進める。その際、国内外の好事例を参照するため、文献調査と現地での聞き取り調査も行う。 それ以降は、第3段階として、中学校理科授業における方策の実践と評価を行い、最後に第4段階として、女子に配慮した中学校理科授業の開発視点・指針の整理と総括を行う。 研究の成果が一定程度まとまった段階で、日本理科教育学会、日本科学教育学会、日本教科教育学会等で発表し、論文も投稿する。本研究は質問紙調査やインタビュー調査を含んだ人を対象とする研究であるため、倫理面での配慮を十分に行う。
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