研究課題/領域番号 |
23K02420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 愛知東邦大学 |
研究代表者 |
水野 伸子 愛知東邦大学, 教育学部, 教授 (30440556)
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研究分担者 |
津崎 実 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 客員研究員 (60155356)
福本 徹 国立教育政策研究所, 生涯学習政策研究部, 総括研究官 (70413903)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 演奏者と聴取者 / 同期 / フィードバック制御 / 拍 / 手拍子 / 音響信号処理 / 演奏者と聴衆 / 相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、演奏者と聴衆の同期に伴う動的な相互作用のメカニズムを解明することを目的とする。具体的には、実験曲の音楽のリズム構造と相手からのフィードバック情報を条件統制し個別の同期実験を行う。演奏と手拍子の拍時点は音響信号から信号処理をして推定する。分析は演奏と手拍子の拍時点の同期度や拍時点周期の相互相関解析およびリズム構造との交互作用などから行う。本研究の成果は、学校教育における表現や鑑賞の音楽指導に示唆が得られることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は、演奏者と聴取者という音楽を介した同期に伴う動的な相互作用のメカニズムの解明を目的とする。これは先行研究(19K02769、2019-2022)からの継続研究であり、生演奏と記録媒体で差異が生じると仮定される演奏者-聴取者間の相互作用の実証を試みるものである。筆者らの先行研究では、演奏者と聴衆という個人対集団の関係において、同期に伴う相互作用の有無を互いのフィードバック情報を統制した手拍子実験から検討した。 令和5年度は先行研究(19K02769)を総括した。聴覚フィードバックを有する方が演奏の拍時点と手拍子の同期度が高く、相手の過去の情報を基に相互に調整し合う様子が認められ同期に対する聴覚フィードバックの優位性が示された。音響情報の双方向性は演奏者と聴衆が相互にフィードバック制御する関係性をもたらし、このフィードバックループが両者の連続的な同期を推進することが示唆された。この成果を国際学会(International Conference on Music Perception and Cognition)で発表するとともに論文を投稿した(Mizuno&Tsuzaki、2023)。 次に、先行研究で得られた知見をもとに演奏者と聴取者という個人対個人の関係における相互作用を解明するため、音響フィードバック情報を統制した実験デザインを検討した。現在、予定している実験は個別の手拍子同期実験、および聴衆の反応による演奏への影響の有無を確認するための無観客による演奏データの取得である。 令和6年度は、実験システムを決定し実験に向けた環境整備等を行った後に本実験を実施する。実験後には拍時点を求めるため音響解析を行い、分析に着手する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験システムの検討に時間がかかった。筆者らが行った先行研究の集団実験では、音響情報の双方向と一方向の伝達切り替えをオーディオインタフエースで行なった。今回の個別実験ではオーディオインタフェースをパソコンに記録するためのみに使用し、音響情報フィードバックの統制はミキサーを介して行うこととした。使用するミキサーにより配線図が異なることから、システム図の検討や機種の選定に時間がかかった。このように実験システムの決定までに時間を要したことから、研究の進捗状況は当初の予定よりやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実験システムを決定し機材を整えたのち、研究倫理に則って本実験を実施する。実験後には、収録した音源を基に演奏と手拍子の拍時点を求めるため音響解析を行う。推定された拍時点をもとに演奏者と聴取者の動的な作用関係を相互相関解析などから分析する予定である。さらに詳細な分析を加えたのち、演奏者―聴取者間の同期に伴う動的な相互作用のメカニズムを先行研究を踏まえて考察する。
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