研究課題/領域番号 |
23K02421
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
坂井 武司 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30609342)
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研究分担者 |
赤井 秀行 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 講師 (80910033)
日下 智志 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (00909591)
石坂 広樹 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20537493)
大門 耕平 東北学院大学, 文学部, 講師 (80963389)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | パターン認識 / 幼小接続期 / 算数教育 / シンガポール / パターンの認識 / 算数プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
近年、国際的に幼児期の算数の基礎教育に関する研究、特に、数学的能力の一つであるパターンの認識が注目されている。数列に関するパターンの研究が多く、図形や空間に関するパターンの研究は殆どない。そこで,本研究では、幼小接続期の図形や空間に関するパターンの認識に焦点を当て、幼児・児童のパターンの認識の実態を明らかにする。また、幼稚園の保育と小学校の算数科におけるパターンの認識を育むための算数プログラムを開発し、保育・授業実践を通して、算数プログラムの妥当性や効果について明らかにする。これにより、パターンの認識を位置付けた幼児教育及び算数教育の新しいカリキュラムの創造に貢献できる。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、日本とシンガポール、さらに新たに追加することとなった台湾の幼稚園・小学校を訪問し、パターン認識を育む保育・算数授業に関する情報収集を行なった結果、日本の小学校第1学年から第3学年にパターンに関する学習内容を系統的に位置付けることの必要性を明らかにするとともに、日本とシンガポールの算数教科書のパターン認識に関する比較を行い、「パターン認識に関する教材一覧」を作成した。 また、日本の幼稚園教員への調査を通して「幼児教育における算数の基礎を評価するための保育観察の視点」を開発するとともに、日本の小学校教員への調査を通して「算数科の授業観察のための自己評価尺度」を開発した。さらに、パターン認識を育む算数プログラムに位置づく「パターン認識に基づく三角形・四角形の概念形成に関する授業プラン」を作成し、小学校第2学年においてパイロット授業を行なった。 なお、パターン認識に関する先行研究の分析を通して、Van Hieleの学習水準理論に基づくパターン認識の水準を設定した。この水準を活用してパターン認識を育む算数プログラムを開発するために、パターン認識に関する幼児・児童の発達段階を明らかにする必要性が生じた。そのため、当初の計画にはなかったが、「幼児・児童のパターン認識を評価するフレームワーク」を設計し、「パターン認識に関する調査問題」の作成と幼稚園5園・小学校4校での調査実施までを行なった。 パターンの認識は数学教育におけるビッグアイデアの一つであるパターンと関係しており、関数の素地として重要であるだけでなく、数・量・図形の認識にも関係している。したがって、本研究の成果は、幼小接続期における幼児の算数の基礎および児童の算数に関する資質・能力の育成という意味において、必要かつ意義があると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通り、小学校算数科における「パターンの認識に関する教材一覧」の作成、パターン認識を含めた「幼児教育における算数の基礎を評価するための保育観察の視点」の開発、授業観察の視点となる「算数科の授業観察のための自己評価尺度」の開発までができている。 日本と海外の幼稚園・小学校からの情報収集に関しては、シンガポールの幼稚園への訪問が、コロナ禍以降、衛生管理上厳しくなっており保育観察は難しいという状況であったため、新たに、シンガポールと同様に国際的な学力調査において上位国である台湾の幼稚園・小学校への訪問を行い保育観察・授業観察を実施したが、最終的に、シンガポールの幼稚園からも、スクールツアーの一環として保育観察が許可され、研究推進上、有意味な情報をシンガポールと台湾の両方から収集することができた。 また、予定していた「パターン認識を育む算数プログラム」の開発については、当初の計画にはなかったパターン認識に関する調査の結果の分析を通して、パターン認識に関する幼児・児童の発達段階を明らかにした後に行うことが妥当であると判断し、次年度以降の開発に変更した。しかし、「パターン認識に基づく三角形・四角形の概念形成に関する授業プラン」の設計と小学校第2学年におけるパイロット授業の実施まではできている。 さらに、幼稚園における「パターンの認識に関する遊び一覧」の作成については、幼児教育における算数の基礎を評価するための保育観察の視点の実用可能性の検証の中で、パターン認識に関連するいくつかの遊びについて確認できているが、既存の遊びの捉え直しだけでなく新たな遊びの環境構成が必要であるため、一覧の作成にまでは至っていない。 しかし、当初の計画になかった台湾への訪問及び調査問題の開発・実施を考慮すると、研究全体としては、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、パターン認識に関する調査の結果の分析を行ない、パターン認識に関する幼児・児童の発達段階を明らかにするとともに、それに基づいて、「パターン認識を育む算数プログラム」を開発する。 また、令和5年度に実施した「パターン認識に基づく三角形・四角形の概念形成に関する授業プラン」に基づく小学校第2学年におけるパイロット授業を修正・再実施するとともに、「パターン認識を育む保育プラン」の設計・幼稚園での実施により、パターン認識に関する幼児・児童の様相についての分析・考察を通して、算数プログラムに位置づく保育・授業の妥当性と効果について明らかにする。 さらに、日本、シンガポール、台湾の幼稚園への訪問および幼稚園教員との協議を通して、パターン認識に関連する遊びの事例を充実させ、幼稚園における「パターンの認識に関する遊び一覧」の作成を行う。
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