研究課題/領域番号 |
23K02425
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 尚絅大学短期大学部 |
研究代表者 |
坂本 健 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 教授 (40462105)
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研究分担者 |
栗川 直子 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (10631575)
森 みゆき 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (00738552)
山崎 浩隆 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (20555768)
坂下 玲子 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (20178552)
北川 雅浩 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (10846869)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 美術鑑賞教育 / 幼児教育 / 図画工作科教育 / 指導法 / 感性心理学 / 図画工作 / 身体表現 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、言語が未発達な幼児や小学校低学年の児童を対象とし、身体表現、声や音での表現、造形表現等の非言語的な活動を主とした非言語型美術鑑賞法を提唱するものである。心理学の感性研究を基盤理論とし,非言語的な表現を用いた鑑賞および表出の共有を含めた指導法を確立する。研究の成果として、保育・図画工作の授業で活用可能な非言語型美術鑑賞の指導法及び教材を共有可能な形で公開することで保育・教育現場に還元する。
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研究実績の概要 |
本研究で提唱する「非言語型美術鑑賞」とは、「身体表現」、「声や音での表現」、「造形表現」、そして「言語表現」も複合的に含まれる多様な表現方法を通して美術作品を鑑賞し、感じたことをまた多様な形で表出するよう促すものである。本研究の目的は、言語が未発達な幼児や小学校低学年の児童を対象に、発達段階に応じた「非言語型美術鑑賞」の指導法を確立し、保育・教育現場に還元することである。 3年計画の初年度である当該年度は、まず幼稚園教育要領、及び小学校学習指導要領に示された幼児・児童教育の基本を踏まえ、領域「表現」・図画工作科のねらい及び内容についての基本的な考え方の構築をすることを目指した。そのため、熊本県立美術館「先生のための鑑賞プログラム」、及び大分県立美術館「猫をめぐる3つのワークショップ」等の美術館の鑑賞教育にプログラムに参加し、幼児期から小学校低学年における美術鑑賞教育の在り方について教育普及担当学芸員と意見交換し、情報収集を行った。そして、その上で研究基盤構築のための論文、及び小学校図画工作科における鑑賞教育発展に向けた課題についての論文を著した。また、熊本県内における研究協力園・校において「非言語型美術鑑賞」の予備実験調査、及び教材の予備実践を行い、幼児・児童の表出に見られる「身体表現」、「声・音での表現」、「造形表現」について分析・検討を行った。その成果は今後、日本心理学会第88回大会、及び第63回 大学美術教育学会 金沢大会で発表することを計画している。 そして、これまでの研究成果を基に「非言語型美術鑑賞」の教材研究・開発を行っており、今後、熊本県内における研究協力園・校において、その教材の実践、及び分析・検討を進めていくことを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画に沿って概ね予定通り進り遂行しており、本研究で対象とする幼児・小学校低学年児童を対象とした鑑賞教育プログラムを実践している美術館と連携を図りながら、幼稚園教育要領、及び小学校学習指導要領に示された幼児・児童教育の基本を踏まえ、領域「表現」・図画工作科のねらい及び内容についての基本的な考え方を構築することができた。また、研究協力園・校において「非言語型美術鑑賞」の予備実践を行い、幼児・児童の表出に見られる「身体表現」、「声・音での表現」、「造形表現」について分析・検討することができた。 ただ、一方で当該年度に予定していた「発達段階を踏まえた指標作成と指導法(案)の採用学年の検討」、「音楽、造形、身体、言語等のカテゴリを用いての類型化」には至ることができていない。これは、研究協力園・校における「非言語型美術鑑賞」の予備実験調査において、幼児・児童の反応と表出に予期しない結果が抽出され、その分析や検討の必要性があると判断したためである。この予備実験調査では、絵画中に描かれた人物の表情を模倣することにより認知の正確性が高まると予想されたが、むしろ模倣を求めた方が提示された表情カテゴリーに当てはめていく正確性が低下するという結果が得られた。考察としては、模倣により対象への共感が高まった結果として、表情カテゴリーにあてはまらない複雑な感情を読み取ったため、画像の表情と一致しない多様な回答がみられたのではないかと考えており、次の実験では表情カテゴリーを用いない回答方法を取り入れて検証を行うことを計画している。 今後はその成果を踏まえながら未達の研究内容を遂行していく必要性があるため「(3)やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
まず、【現在までの進捗状況】で述べた予備実験調査の結果に対する考察の検証を行い、その成果を踏まえながら「発達段階を踏まえた指標作成と指導法(案)の採用学年の検討」、「音楽、造形、身体、言語等のカテゴリを用いての類型化」を遂行していく。それと同時に、研究協力園・校において新たな「非言語型美術鑑賞」の予備実践も行いながら、以下のとおり推進していく。 ① 上記の成果、及び前年度の検討をもとに、非言語型の指導法を考案し、教材開発に取り組む。 ② 研究協力園・校にて非言語型の指導法を実践し、幼児・児童の発達に即して「主体的・対話的で深い学び」が実現する過程を踏まえ、環境の構成、教材の作成、教師・保育者の援助、予想される幼児・児童の姿、及び評価の視点等を含む活動モデルを具現する。 ③ ②での実践記録をもとに、振り返りと改善を試みる。活動の展開において、「身体表現」、「声・音での表現」、「造形表現」等の非言語的表現、及び言語表現が複合的・融合的に含まれ、それぞれの表現領域が双方向に影響しあっていることを確認する。
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