研究課題/領域番号 |
23K02470
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
押谷 由夫 武庫川女子大学, 教育研究所, 教授 (50123774)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | プロジェクト型道徳学習 / 総合単元的道徳学習 / 学級経営 / 「特別の教科 道徳」 / 生命の尊厳 / 道徳学習プログラムユニット / 自己を見つめる |
研究開始時の研究の概要 |
「生命の尊厳」(かけがえのない存在としてリスペクトする)を基軸として、生命を、本質軸(「生きんとするエネルギー」)と空間軸(生活)と時間軸(人生)からとらえ、社会的・道徳的課題を生命の軸とかかわらせて教科横断的に学びを深める「道徳学習プログラムユニット」と教材を開発し、同時にそのユニットで用いる子ども用の「道徳学習プログラムノート」を開発する。実際の学校における臨床実践を基に、「道徳学習プログラムユニット」と「道徳学習プログラムノート」による学習効果について検証する。その成果をまとめ冊子にするとともに、データベース化し自由に活用できるようにする。
|
研究実績の概要 |
研究の初年度であり、主に先行研究の分析と理論的分析に重点を置いた。まず、今日の教育改革の動向について、わが国と特にOECDの動向を分析した。これからの教育改革の提案において、共通していることを、大きく次の3点について明確にした。 第1は、これからの教育は、一人一人の幸せな生活を基盤として、生涯に亘って幸福を追い求められる力を育むものである(個人と社会の幸せ)ことの確認である。わが国の人格の完成をめざした教育も、結局は「豊かな人生」が送れるようにすることであり、そのためには、「豊かな社会」が必要である。それは、幸せな人生と幸せな社会を同時に求めるということになる。第2は、そのために、一人一人の実態に応じた社会への対応を図る教育が必要であるということである。これからの教育は、激変する社会の変化に適応していける人間の育成が求められるが、一人一人の幸福への道しるべとなるための社会的自立への教育であるべきであり、その視点から社会の変化への対応を考える必要があるということである。 第3は、新しい社会の創造は、多様性の共生(ダイバーシティ)の中でこそ可能であるということである。そのためには、互いの感じ方や考え方、ものの見方などを受け入れ、背景などを含む相互理解を深めて、互いを認め合うことが必要である。その根幹に、人間への信頼と、共生していくための人間としての課題の共有がある。 このことを確認しながら、再度これからの教育における「生命の尊厳」を基軸に置いた道徳教育をどのようにとらえ、具体化すればよいのかを検討した。そして、プロジェクト型道徳学習プログラムという視点から、まず、基盤となる学級経営において、どのように取り組んでいけばよいのかを検討した。その内容をもとに、予備的な取り組みを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画通りに進んではいるが、予定したところまでは到達できなかった。その理由は、研究の最初において、再度先行研究と理論的研究を行い、計画した理論的枠組みをより強固なものにしていくことが大切だと考え、そちらに重点を置いたためである。その枠組みにしたがって、臨床的に取り組むことについては、打ち合わせや、予備的取組は行ったものの、臨床的実践とのかかわりでの検討やより広い立場からの理論的枠組みの検討を十分に行うまでには至らなかった。そのため、そのことに割り振っていた予算を、来年度に繰り越すことになった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度では、研究協力者との研究会を多く行い、今年度追究した理論的枠組みについて、臨床的視点や他分野での研究動向や理論的研究などをもとに、さらに精緻化を図っていく。そして、同時に協力学校との連携を深めて、臨床的な取り組みを行ってもらう。その結果をもとに理論的枠組みの修正を行っていく。まず、プロジェクト型道徳学習プログラムを、学級経営という視点から検討する。これから求められる自己の成長と集団の成長を同時に叶える取り組みは、学級をベースとして行われる。それをどのように取り組めばいいのかを学級集団の発達と子どもたちの心の成長とを同時に実感できる取り組みが必要である。その仮説として、学級を心の居場所にしていく(心の居場所づくり)、学級を心のよりどころにしていく(心のよりどころづくり)、やりがいをみんなが心で実感できる学級にしていく(こころのやりがいづくり)というの3つの側面を設定している。子どもたちや学級の実態等を考慮しながら、社会的課題や学校(学級)的課題、子どもたちのニーズに対応するより精緻化されたプロジェクト型道徳学習のプログラム開発に取り組む。 できれば、その成果を学会等で発表したい。
|