研究課題/領域番号 |
23K02472
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 九州ルーテル学院大学 |
研究代表者 |
赤井 秀行 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 講師 (80910033)
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研究分担者 |
坂井 武司 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30609342)
石坂 広樹 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20537493)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 1人1台端末 / 協働的な学び / 算数 / 他者参照 / ICT活用 / 算数教育 |
研究開始時の研究の概要 |
小学校における1人1台端末環境が整備され、協働的な学びの実現に向け、その活用が期待される。しかし、1人1台端末による協働的な学びを通じ、児童がどのように学習に取り組み、学びを深めることが出来るのかという過程は十分に明らかにされていない。本研究では、算数科における1人1台端末によるコミュニケーションを通じた児童の協働的な学びの過程・特性を明らかにし、その特性に基づき「1人1台端末だからこそ実現できる協働的な学び」を基盤とした算数科授業を設計する。これにより、1人1台端末を基盤とした学習・指導の在り方に新たな知見をもたらし、Society5.0時代に求められる教育へと繋げることが出来ると考える。
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研究実績の概要 |
研究計画に基づく2023年度の具体的目標は、①シンガポールにおける授業参観を通じた、1人1台端末を用いた協働的な学びに関する授業アイデアの収集、②2024年度に実践する授業プランの設計、③パイロット版授業の設計及び実践、の3点である。 1点目について、シンガポールへ渡航し、授業観察及び現地教員からの意見収集を行った。特に、これまで「個別最適な学び」を実現するための手段としてとらえられていた「他者参照」について、その「協働的な学び」としての側面を重視した実践に関する情報を多く収集することができた。また、「他者参照」以外のねらいを持った活用法についても、授業における学習活動の「導入」・「展開」・「まとめ」・「振り返り」の各段階において位置づけられており、授業設計に資する知見を得ることができた。2点目について、上述のシンガポールにおける調査結果を踏まえ、研究協力校の教員と協議を進めた。また、他の研究課題と関連付ける中で、「共同編集」を用いた第6学年の算数科授業を設計し、2024年5月に実践を行う準備を整えた。3点目について、「他者参照」に焦点化したパイロット版授業を設計し、研究協力校において実践した。2024年度からの本格的な授業実践に向けて、児童のICT活用能力と設計された授業案に乖離がないかを確認することが第一の目的であったが、その点については大きな課題がないことが分かった。ただし、実践中のデータの収集方法(研究内容・方法にかかわるため、具体的なその内容は割愛する)については、留意すべき点があることが明らかになった。また、質問紙調査の結果から、ねらいとした1人1台端末による協働的な学びが実現されていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の2つの点から、本研究計画は「おおむね順調に進展している」と評価できる。 第一に、当初の計画通り、シンガポールにおける現地調査、得られた知見を活用した授業計画の設計、及びパイロット版授業の実践を行うことが出来た。特にパイロット版授業の実践において、①意図している1人1台端末の活用が、児童の操作能力等に見合ったものであることが確認されたこと、②質問紙調査の結果から、ねらいとした1人1台端末による協働的な学びが実現されていることが確認されたこと、の2点は本研究計画の今後の遂行の重要な素地となる。 また第二に、他の研究活動で関わる小学校教員や研究者らが本研究計画に関心を持ち、特に社会科・総合的な学習の時間を専門とする教員らとの交流を開始することができた。そして、算数科以外での1人1台端末を用いた協働的な学びについて、定期的に協議が実現され、具体的な授業計画の設計に至っている。このことは、従来の算数科授業の中での活用では見出せなかった「1人1台端末によるコミュニケーションの特徴」を捉え、それを算数科の授業に援用することができるという点で、本研究のさらなる深まりに資するものであると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、1人1台端末を用いた協働的な学びにおける、児童のコミュニケーションの特徴を明らかにするため、研究協力校における授業実践を各学期に行い、その結果を分析・考察する。授業については、パイロット版で「他者参照」をテーマとしたように、それぞれの授業に活用法に関連する特定のテーマを設定し、分析を焦点化しやすくする。 また、2023年度に他教科を専門とする教員への広がりが得られた点を踏まえ、社会科での実践を現在設計中であり、この実践を計画している。そして、「算数科以外の実践で見出された児童のコミュニケーションの特徴を、算数科へと援用した授業を計画する」という手法で、本研究課題へのアプローチを試みる。
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