| 研究課題/領域番号 |
23K02488
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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| 研究機関 | 札幌国際大学 |
研究代表者 |
河本 洋一 札幌国際大学, 観光学部, 教授 (50389649)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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| キーワード | ヒューマンビートボックス / 音象徴 / 視覚化 / カリグラフィ / アルゴリズム / 表現活動 / 音楽づくり / カリグラフィー |
| 研究開始時の研究の概要 |
◇学術的独自性と創造性について 【学術的独自性】カリグラフィーと音・音楽作りの関係性を解明し総合的な表現活動を開発する初の研究である。 →視覚的情報と音・音楽の融合は作品としては存在するが学術的には未開拓の領域であり、新たな表現の可能性を研究する。 【創造性】年齢(発達段階)・性差・音楽歴を超えて使用できる音・音楽作りの教材の創造する研究である。 →特許出願も視野に入れ、即興的に演奏し演奏者間の対話的な関わりが促進される教材を創ることが期待している。
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| 研究実績の概要 |
2024年度は、ヒューマンビートボックスにおける文字の音象徴的機能について、主に教育現場での実践事例を収集し、研究を進めた。指導の場面では、ドラムセットの模倣音である「基礎音」を伝える手段として、言語音を用いた表記が多く見られた。特に、これらの言語音はオノマトペを使って表現されることが多く、基礎音の音響的特徴とオノマトペとの間にいくつかの共通点があることが示唆された。 そこで、基礎音と対応するオノマトペの音響的特徴を、①音の減衰(エンベロープ)、②周波数帯域特性という観点から考察した。その結果、両者には一定の関連性が認められる一方で、オノマトペが基礎音を完全に模倣するのではなく、音を象徴的に表現していることが明らかとなった。すなわち、オノマトペは基礎音の音象徴として機能しており、音そのものとは異なる言語的表現であることが確認された。 また、ヒューマンビートボックスの演奏には、打楽器の模倣音だけでなく、具体的に何の音かを判別しにくい音も多く使われている。このため、ヒューマンビートボックスの表記を単なる音の模写として捉えるのではなく、より広い意味で「音そのもの」を文字として象徴化するアプローチが必要であると考えられる。 この視点に基づき、音の属性に関する先行研究を整理した結果、音は大きく「純音」「楽音」「噪音」の三つに分類されることが確認された。「純音」は倍音を含まない単一周波数の音で、時報などのように現実には人工的に作られる音である。「楽音」は倍音を含み、音程を感じ取れる音で、楽器音や人間の声がこれに該当する。「噪音」は音程を明確に感じ取れない音で、主に打楽器音などが含まれるが、音程をもつ打楽器も存在する。 これら三種の音属性を視覚化するアルゴリズムの構築は、本研究が目指す「ヒューマンビートボックスとカリグラフィの融合」において重要な課題である。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究は、前回の科研費の遅延により2つの研究課題を同時に進めていたため、進捗は思わしくなかった。しかし、2024年度には本研究課題に専念することができ、研究は加速した。 ヒューマンビートボックスの音象徴に関する研究では、音の属性(純音、楽音、噪音)が音響的側面から理解するために重要な分類であることが確認された。しかし、この3つの区分だけではヒューマンビートボックスの音象徴を整理することには限界があることが明らかになった。そのため、音の区分に関して、①音程の有無、②倍音の有無、③ノイズ音の有無を分析軸として挙げ、さらに演奏時のリズムのグルーブ感や音楽的構成の要素を考慮に入れた。これらの要素は定量化が難しいため、今年度の研究では十分な掘り下げには至らなかったが、今後の研究課題として残した。 一方で、ヒューマンビートボックスの音を視覚化する試みは順調に進展した。基礎音に関して音象徴を視覚的に表現できる段階に達した。また、視覚化した音象徴を被験者に判断させ、その音を発声させる実験を実施した。実験結果から、視覚情報と音象徴との間に一定の法則性が存在することが示唆された。このことにより、基礎音に関しては視覚化が可能であることが確認された。今後、これをカリグラフィとしてアルゴリズム化することで、ヒューマンビートボックスとカリグラフィの融合による新たな芸術表現を具現化できる可能性が見えてきた。 現在の研究課題としては、音から視覚情報への変換、また視覚情報から音への逆転的な変換に関する双方向性の有無を考察することが挙げられる。ヒューマンビートボックスとカリグラフィがどのように融合するのかについては、未解明の部分が多いが、今後の研究でこの点を明確にしていく予定である。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は以下の課題に取り組む。 1.音象徴の明確化:音象徴の定義を明確にするため、先行研究を調査し、音象徴が指す具体的な意味を定義する必要がある。ヒューマンビートボックスにおける音象徴の一例として、基礎音をオノマトペで表現する方法がある。オノマトペの音響的特徴と基礎音の共通点が認められ、オノマトペが音象徴として使用されることが理解できる。基礎音とオノマトペの関係が可逆的か不可逆的かも明確にすることが求められる。 2.音象徴の視覚化のアルゴリズム開発:音象徴を視覚化する状態や、聴覚と視覚の結びつきがどのように体験されるかを検討する必要がある。また、音象徴の視覚化アルゴリズムが再現性を持ち、文化や言語に依存しない普遍性を持つかも重要な課題であり、視覚化方法が広く適用可能かどうかを検討する。 3.ヒューマンビートボックスとカリグラフィの融合の具体化:ヒューマンビートボックスとカリグラフィをどのように融合させるかを具体的に検討することが重要である。カリグラフィは音の視覚的表現として有効であり、音象徴を新たな視覚的形式に変換する手法として活用できる。音と視覚を融合させる際には、カリグラフィの美しさやアート的要素を考慮しながら、ヒューマンビートボックスとカリグラフィの相互作用を深める必要がある。 4.新たな芸術表現手法の再現性の確認:ヒューマンビートボックスとカリグラフィの融合により生まれる新たな芸術表現が、他のアーティストや実践者によって再現可能かを確認することが重要である。再現性の確認は、教育現場での活用可能性を広げるために不可欠であり、異なる文化や背景を持つ人々にも受け入れられる普遍的な方法を探る必要がある。 今後の研究では、これまでの事例収集や実証的研究を基に、新たな枠組みの構築や聴覚と視覚を統合した体験の発掘を目指す。
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