研究課題/領域番号 |
23K02500
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
王 帥 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40743422)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 奨学金 / 経済的支援 / 大学生 / 教育機会 / 低所得層 / 大学生活 / 学習行動 / 学生の経済支援 / 高等教育政策 |
研究開始時の研究の概要 |
経済支援の最新の政策動向に関して従来の貸与型奨学金のほか,2020年度より始まった高等教育の修学支援制度,さらに2024年度より「出世払い」方式の新制度設立も提唱されている。しかしながら,こうした制度は比較的短期間で創設または提唱されたものであり,継続的な効果検証を踏まえた制度設計とは言い難いものである。本研究では,学生と若年・壮年層対象の追跡調査を通じて,経済支援が学生の学習行動上の変化及び卒業後の進路選択に与える影響を実証的に検証するとともに,奨学金返済の実態に関する考察を加えることによって,経済支援の在り方に向けての示唆を導きだす。
|
研究実績の概要 |
本研究では,学生と若年・壮年層対象の追跡調査を通じて,経済支援が学生の学習行動および卒業後の進路選択に与える影響を実証的に検証し,さらに奨学金返済の実態に関する考察を加えることで,経済支援の在り方に関する示唆を導き出すことを目的としている.2023年度には,以下の研究を行った. 第一は,経済支援の政策動向を把握した.経済支援政策の動向や社会的議論を継続的に整理するとともに,それに基づいて実証研究の枠組みを構築し,調査票の設計に関する準備を行った. 第二は,既存の調査データの二次分析を行った.奨学金の返済状況について,返済者属性調査データを用いて分析した.この分析から,奨学金の返済は卒業後の雇用形態や収入状況だけでなく,申請時の奨学金利用への関わり方や認識とも関連していることが明らかになった.中学生と高校生の保護者を対象とした調査データを用いて,奨学金の情報ギャップ問題や保護者の経済的支援制度の認知について分析した.また,東大社研パネル調査データを用いて進学選択と奨学金の関係を分析し,低所得層の家庭ほど奨学金を利用する傾向が改めて確認された.これらの研究成果を国内外の学会で発表した. 第三は,全国若年者を対象としたWeb調査を実施した.2024年2月に,18歳から22歳までの日本全国の若者を対象として,高校卒業後の進路や生活,経済支援,教育費負担に関する実態を把握した.このWeb調査では,高校卒業後の進路別の状況を尋ねるだけでなく,金融リテラシー・金融教育に関する調査項目も設けており,広範囲な経済支援の効果や学生支援のあり方を捉えることができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに,政策動向を把握するために調査票の設計を行い,第1回目の全国調査を実施した.第1回目の調査を通じて,高校卒業後の進路別に経済支援の認識と利用状況を把握し,利用の規定要因を明確にした.また,経済支援が大学在学中の学習や生活に与える影響を検討し,大学卒業後の進路希望の違いも考察した.これらは調査対象者の基礎情報となり,次年度の追跡調査につながる.また,既存の調査データの二次分析を行い,奨学金が大学卒業後の初職に与える影響を分析し,得られた知見が次年度の追跡調査に活かされる予定である.これらの分析結果を国内外学会で発表し,論文執筆にも行っている.
|
今後の研究の推進方策 |
全国の若年者を対象としたWeb調査を通じて,大学在学中の学習と生活,進学前の状況,大学卒業の進路希望を含めて奨学金の効果を検討する.高等教育の金融リテラシー・金融教育の実態を調査データに基づいて検討し,米国の金融教育の展開や大学等での取り組みを比較する.さらに,アジアにおける大学生への経済支援政策を考察し,日本の経済支援政策の特徴を明らかにする.これらの分析の結果を国内外の学会で研究発表を行い,学術誌への投稿を行う.
|