研究課題/領域番号 |
23K02534
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
藤平 敦 日本大学, 文理学部, 教授 (60462157)
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研究分担者 |
篠原 清夫 三育学院大学, 看護学部, 教授 (10647580)
牛渡 淳 仙台白百合女子大学, 人間学部, 名誉教授 (30151856)
大川内 隆朗 日本大学, 文理学部, 准教授 (70548370)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 開放性の教員養成 / 教職課程 / 追跡調査 / 不安感 / 支援体制 / 教員免許状 / 追跡 / 支援 |
研究開始時の研究の概要 |
多様化した教職員集団の中核となる質の高い教師を確保するために、現在、教員養成を行う 大学(学部)の教育内容・方法・組織の在り方が強く求められている。その一方で、学部卒業までに教員免許状の取得を断念する学生も少なくないという課題も指摘されている。 本研究は、開放性の教員養成を行っている大学において、教員免許状の取得を希望する全ての学生に対して、入学時から卒業時に至るまでの4年間の追跡調査をすることで、大学側はどの時期にどのような支援を提供する必要があるのかを明確にして、教員免許状の取得を希望している学生に向けた支援方法を再構築することである。
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研究実績の概要 |
中央教育審議会は令和3年1月26日の総会において、新学習指導要領の取扱説明書の位置づけでもある「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)」を取りまとめた。そして、「「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」が諮問された(令和3年3月12日)。このように、新時代においても「教員の養成・採用・研修」が重視されている。一方、少子高齢化の流れもあり、各自治体が実施している教員採用試験の受験希望者が減少する傾向が見られている。このことは、教員免許状の取得段階における学生(特に、開放制教員養成の大学における学生)の意識の変化とも関連があるのではないかと考える。 開放制教員養成の大学である日本大学文理学部では、教員免許状の取得を希望する学生が多いが、その一方で学部卒業までに教員免許状の取得を断念する学生も少なくない。その一方で学部卒業までに教員免許状の取得を断念する学生や断念をしないまでも、取得に対する意欲が低下している学生も少なくない。このような課題に対しては、必要な時期に適切な支援を行うことにより、状況を改善できるのではないかと考えている。 本研究では、教員免許状の取得を希望している学生に対して、継続的な質問紙調査を4年間行い、入学時から卒業時に至るまで、教員免許状の取得に向けたプロセスの分析を行うことを主目的とする。 調査方法については、教職課程コースを履修する1年次から4年次までの学生に対して、年度開始時(4月)、前期末(7月)、後期末(1月)の年間3回、質問紙調査を継続している。質問紙調査項目は、「授業」、「人間関係」、「生活態度」、「心理状態」などを含めた内容で、選択式質問約40問+自由記述式1問をその都度、学生に同じ項目を問いかけている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗上については、質問紙調査の項目の中で、主に教員免許状の取得動機や教員免許状取得への不安感等について、経年比較とともに入学方式との相関についての分析も試みた。調査から見えてきたことは、令和2年度に入学をした教員免許状取得希望学生から回答された入学方式を大きく4つ([AO入試][一般推薦入試][付属推薦入試][一般入試])に分類すると、最多が[一般入試]で、次いで多いのが[付属推薦入試]であった。この2つの入学方式で約80%を占めていた。また、「あなたはなぜ教員免許を取得しようと思いましたか?」と尋ね、複数回答で答えてもらった結果、「出会った先生への憧れ」「教員になりたいから」「教えることが好きだから」が比較的多かった。「教えることが好きだから」は[一般入試]が有意に多く、「教員免許状を持っていると就職等に有利だから」は[一般入試]で少なかった。 さらに、入学年度(令和2・3年度)の異なる1年生時の項目を比較してみると、「教員免許状の取得に向けて不安を感じていることは何ですか?」の項目では、両年度入学生ともに「授業数が多くなる」が6~7割程度で最も多く、次いで順に多いのが「教職科目の授業内容についていけるか」の4~5割程度であった。なお、「専門学科目との両立」については、入学年度による大きな違いは見られなかった。学年が進むとともに教員免許状取得に関しての不安は低くなる傾向にあるが、[一般入試]以外の学生は 「教職科目の授業について行けるかどうか」の不安が高い。 これらのことから、ガイダンスの充実とともに、教職課程科目の内容の充実、また、教職課程科目の配置時間等についても検討が必要である。また、3年生になると、学生の不安感が解消される傾向が見られるので、2年生までの指導の在り方を工夫する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度に分析をした入学試験の方式別([AO入試][一般推薦入試][付属推薦入試][一般入試])の相違を継続するとともに、教職課程コースに登録した学生が、教職科目やほかの専門科目について、どのような成績を収め、さらにはどのようなキャリアへ進もうとしているのかを見るために、新たにGPAとの相関に着目していきたい。さらに、学生の自尊感情や自己有用感との関係性についても注視することで、教員免許状の取得を希望している学生への適切な支援の在り方について模索をしていく予定である。 今後は、教学IRのデータを照会することにより調査を行っていく。
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