研究課題/領域番号 |
23K02556
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 尚絅学院大学 |
研究代表者 |
田幡 憲一 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 特任教授 (00236720)
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研究分担者 |
齊藤 敬 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (00343616)
五十嵐 誓 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (00973330)
中山 慎也 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (10870892)
西山 正吾 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20377948)
渡辺 尚 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (20756522)
大迫 章史 東北学院大学, 地域総合学部, 教授 (60382686)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 理科教育 / 教員養成 / 教師教育 / 主体的学修 / 理論と実践の往還 / ICT活用 / 理論の活用 / 実践研究 |
研究開始時の研究の概要 |
宮城教育大学理科で26年に渡って実施し続けてきた理論と実践を往還するプログラムをベースに、多様な大学での活用に耐える汎用性の高い教員養成モデルカリキュラムを作成する。 ①ICTを活用して、学生の率直な意見を引き出して学生間の協働を活性化する。 ②宮城教育大学理科のプログラムを履修した、教諭、指導主事等の多様なキャリアを持つ卒業生からの傾聴をもとに、これまでのプログラムの改善を図る。 ③宮城教育大学理科のプログラムを尚絅学院大学や東北学院大学で実情に応じて試行・検討する。 ④上記①~③を踏まえて、原理的な学修を教育実践に活かす能力を涵養し、かつ汎用性のある教員養成モデルカリキュラムを作成する。
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研究実績の概要 |
宮城教育大学理科で26年間に渡って施行してきた、理論と実践を往還する教員養成プログラム(MUE理科プログラム)を、他大学に移植して試行しながら、プログラム全体の評価改善を図り、私大を含む多くの大学でも活用できるような汎用性の高い教員養成モデルカリキュラムを作成することが研究の目的である。「教員養成コアカリキュラム」の策定により教科の教育方法に関する科目で模擬授業を行うことが義務付けられるようになった現在、宮城教育大学で工夫をしてきた模擬授業の指導や、理論的な学修を授業づくりに活かす指導、ICT活用などをまとめて汎用性のあるカリキュラムを作成する本研究の意義は大きい。 2023年度に、MUE理科プログラムの模擬授業の部分を尚絅学院大学にそのカリキュラムに合わせて導入し、試行した。尚絅学院大学と宮城教育大学の学生を対象としたアンケート調査によれば、授業づくりの工夫や積極的な参加などにかかる両大学の学生の意識には大きな違いは見られず、MUE理科プログラムのある程度の汎用性は示された。ICT活用については教員の授業ビデオをオンデマンドで視聴できるシステムをつくり、予め視聴した学生が輪番で物理学を講ずるしくみを策定した。アンケートからは積極的に学修する学生の姿が浮かびあがったが、この考え方を活かして尚絅学院大学に移植する方法について現在検討中である。 教員としての経験がある程度経過した卒業生は、自らが受けたMUE理科プログラムをどのように評価しているのだろうか?調査は現在も進行中であるが、体験的な学修が必ずしも深い学修には直結するとは言えず、体験的な活動に指導者が深く関わった時に、深く学修する傾向が示されている。インターンシップなど体験的な学修が勧奨されるようになった現在、指導者の関わりについての検討の必要性を示唆していると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 宮城教育大学理科の理論と実践を往還する教員養成プログラム(MUE理科プログラム)の他大学への移植: MUE理科プログラムのうち、模擬授業の指導を主体とした授業プログラムを、尚絅学院大学学校教育学類の生活科教育法で試行した。宮城教育大学と尚絅学院大学学生を対象としたアンケートを比較した結果以下のような傾向が表れた。(1)両大学の学生ともに本プログラムに積極的に参加したと自己評価している。一方、宮城教育大学学生と比べて尚絅学院大学学生の場合課外学習を行う学生が少なく、自己評価の基準に課題がある。(2)両大学の学生ともに授業プログラムや実験教材に自主的な工夫を加えて模擬授業を行っている。導入過程に工夫を凝らしたり、実験機器の試作改善を行っているにも関わらず、「大学での学修を活用している」という自覚は学生には乏しい。今後そのことを意識に上らせるような工夫を試行する。 2 宮城教育大学を卒業した教員へのインタビュー: MUE理科プログラムを履修した卒業生のうち教員として勤務する10名にインタビューを行った。これまでのインタビューで、教養教育科目や教育実習以外の教職科目については学修した内容を多くの卒業生が記憶していない。一方、実験や実習を伴う科目はしばしばよく記憶されている。また、記憶されている学修内容はしばしば教授者とともに想起される傾向にある。一方、教育実習についての記憶がおぼろげな卒業生も見られた。 3 宮城教育大学理科の教員によるビデオ講義を参考にした学生による物理学の授業: アンケートの結果、輪番にあたった学生が独自の工夫をして講義に臨むなど主体的に学修をしており、また学生自身が他の授業と比べて積極的に参加していることがわかった。 4 他大学教職課程のカリキュラムの調査や教育委員会による入職後の研修プログラム等の調査を踏まえた、MUE理科プログラムの評価は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1 2024年度 (1)理論と実践を往還する宮城教育大学理科の教員養成プログラム(MUE 理科プログラム)の、尚絅学院大学における移植の拡充と評価:23年度に生活科教育法の模擬授業に移植して試行したが、24年度はさらに理科教育法等にも移植を拡充してその汎用性について検討する。これらの学生と、宮城教育大学学生に対してアンケート調査を継続して行い、その比較を行う中で、MUE理科プログラムの汎用性について検討を加える。また、専門科目の授業を教員とともに作成し、1コマの講義を学生に任せるという試行を行う。 (2)卒業生に対するインタビュー:MUE理科プログラムを受講した卒業生のうちの現職教員にインタビューを行い、MUE理科プログラムの評価資料を蒐集する。23年度のインタビューで指導者の関わりが高い体験的な学修についての評価が高かったが、教員とのかかわりが強いがしばしば内容は教育実践から離れている卒業研究の意義について、詳しくインタビューを行う。 2025年度以降 モデルカリキュラムの作成:(1)MUE理科プログラムの汎用性の更なる検討:2023、24年度の活動を継続しつつMUE理科プログラムの汎用性に関する評価をまとめるとともに、他の私立大学等の調査を行い、さらに汎用性についての検討を拡充する。(2)教員養成に係るモデルカリキュラムの策定:上記の評価を踏まえ、理論と実践を往還するとともに、主体的に理論的な学修を活かした授業づくりを行う能力を学生に涵養する、教員養成モデルカリキュラムを策定する。(3)教員養成と入職後の教育委員会等の研修を含めた教育委員会の研修との関係等について、調査を始める。
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