研究課題/領域番号 |
23K02585
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
工藤 滋 筑波大学, 人間系, 助教 (30965372)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 視覚特別支援学校 / 理療科生徒 / 3Dプリンタ教材 / 指導法開発 / 遠隔授業 / 3Dプリンタ教材 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナ禍で視覚特別支援学校のあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの職業課程でも、オンライン授業が行われるようになったが、模型の触察ができないために解剖学の授業は困難を極めた。3Dプリンタは耐久性のある教材を量産できるため、オンライン授業に適したオリジナルな解剖学教材を作成して、生徒1人1人の自宅に送付できれば、視覚障害者にも理解しやすい授業を行うことができる。そこで3Dプリンタを用いて、オリジナルな立体教材を作成し、その教材を活用した解剖学のオンライン授業を視覚特別支援学校理療科生徒を対象に実施する。その上で教材及び指導法に関するアンケートを通じて、オンライン授業の有用性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究においては、まず、3Dプリンタを活用して、オンライン授業に適したオリジナルな解剖学教材を複数作成する。次に解剖学の指導経験のある理療科教員を対象に、作成した教材を評価するためのアンケートを実施し、有用性を明らかにする。さらに有用性が評価された教材を活用して視覚特別支援学校理療科生徒を対象に解剖学のオンライン授業を実施し、アンケートを通じて、オンライン授業の有用性を明らかにする。 研究1年目に当たる令和5年度は、購入した3DプリンタとPCを活用して、オンライン授業に適したオリジナルな解剖学教材の作成を進めた。具体的には、まずこれまでに研究協力者が作成した自作教材の3Dプリンタデータから、15教材を印刷した。次に、それらの教材を研究代表者が実際に触察した上で、本研究の目的に適したものを選定した。その次に、選定した教材に対して、オンライン授業を前提に、生徒自身が教材の向きを判断したり、触察の基準点を確認したりしやすい工夫を加えるデータの修正を行った。その後、研究代表者と研究協力者が対面でのミーティングを開き、印刷した修正後の教材を視覚と触覚で観察しながら意見交換を行い、改良点を検討した。検討の結果を踏まえて、3Dプリンタデータの修正と印刷、改良点の検討、データの修正というサイクルを繰り返した。 また、3Dプリンタの操作は視覚を用いて操作する場面が多く、視覚障害者が独力で使用することは困難であるため、タッチパネルで[OK]ボタンが現れる部分に触覚で容易に確認できるシールを貼ったり、3Dプリンタの画面表示をOCRして音声発生するスマートフォンアプリを駆使する等、様々な工夫を重ねて、視覚障害当事者による3Dプリンタの活用方法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は視覚障害者である。3Dプリンタを活用した教材作成には、視覚を必要とする場面が多く、補助者も週1回の勤務であるため、補助者の勤務日以外に作業を進められない状況が続いた。年明け以降は、視覚障害者が独力で3Dプリンタを操作する方法を工夫できてきたが、印刷途中でエラーが出た場合には、補助者の勤務日まで作業を中断せざるを得なかった。そのため、印刷とデータの修正を何度か繰り返して、概ねオンライン授業に適したオリジナルな解剖学教材の原型までは作成できたが、令和5年度内には最終的な修正版の印刷を完了できていない。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年4月に入って以降、3Dプリンタのエラーが頻発するようになったため、補助者の勤務日にメーカーと連絡を取り合って、エラーの原因について調査を進めている。原因が明らかになれば、修理または対応策を講じることで、教材の印刷を再開させることができるようになる。これまで使用してきたサポート座位にエラーの原因がある場合には、他の素材に切り替えることも選択肢に加えて対応を検討する。 また、研究の遅れを取り戻す目的で、研究協力者に加えて、補助者にも、3Dプリンタデータの修正作業を依頼できるよう、ソフトウェアの導入と、操作スキルのトレーニングの時間を確保する。 8月以降、作成した教材の有用性の評価研究に向けての準備を進め、研究倫理申請を経て、年内にアンケート調査を実施する。具体的には、経験年数10年以上で解剖学の指導経験のある理療科教員30名に作成したオリジナル教材を送付し、実際に触察しながら、教材を評価するためのアンケートを実施し、有用性を明らかにする。十分な研究対象者が集まらない場合には、視覚障害者を対象とする理療科教員の団体である日本理療科教員連盟のメーリングリストを通じて協力を呼びかける。
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