研究課題/領域番号 |
23K02591
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤岡 徹 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (80770594)
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研究分担者 |
谷中 久和 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (60548907)
小坂 浩隆 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (70401966)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 社会的情報への注目 / 視線計測 / 皮膚伝導反応 / 瞳孔径 |
研究開始時の研究の概要 |
人の目を見るなどの“社会的情報への注目”は、自閉スペクトラム症(ASD)児者では定型発達(TD)児者より弱い。これまでの研究で、ASD群は思春期以降(12歳以降)では年齢の上昇とともに目領域を見なくなるという傾向を明らかにして、これには特に対人要素が関連する不安が影響を与えていたことを明らかにした。本研究の目的は、対人要素が関連する不安が目領域に与える影響について、自律神経の興奮を測定する生理指標である皮膚伝導反応と瞳孔径を用いて検討することである。本研究はASDのアイコンタクトの異常のメカニズムを解明して、ASD児者の支援や合理的配慮、また診断基準にも関連しうる研究である。
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研究実績の概要 |
社会的情報(人、顔の目領域、biological motion、指差した先の物体)への注視に関するこれまでの研究で、「思春期以降(12歳以降)の自閉スペクトラム症(ASD)の目領域の注視には、対人要素が関連する不安が影響を与えている」ことを示唆した。本研究の目的は、この示唆を生理指標も交えて確固たるものとすることとする。 生理指標には自立神経の活動を反映し、不安が大きいほど大きくなる皮膚伝導反応(SCR)と瞳孔径の変化を用いる。人の顔の目領域を意図的に見る課題(生理指標測定課題)を18歳以下の児童に実施した際に生じるSCRと瞳孔径反応の大きさが、目領域の注視率に影響を与えているかを重回帰分析で明らかにして、それは12歳を境に違いがあるかを確認する。さらに、その結果が成人(18歳以上)で再現されるかを明らかにする。社会的情報の注視は、Gazefinderを用いて、顔の顔、biological motion(正立画と倒立画)、人と幾何学模様、指差しの動画を提示して、それぞれの関心領域である目と口、正立画、人、人と指をさした先の物体の注視率を計測した。 当該年度は、12歳以下ASD児群7名(男児5名、9.1±1.5歳、SCR生起4名)、12歳以下定型発達(TD)児群20名(男児8名、10.5±1.2歳、SCR生起12名)、12歳以上TD児群7名(男児4名、13.5±1.3歳、SCR生起4名)、ASD成人群13名(男性7名、30.4±8.5歳、SCR生起5名)、TD成人群(男性0名、44.9±5.5歳)に課題を実施した。SCRが生起した人数の多かった12歳以下TD児群の分析の結果、生理指標測定課題でのSCRの大きさは、Gazefinderの口領域の注視率と正の相関を示し(rho=.587, p=.045)、目領域を見たときの大きな情動反応は、目領域の注視を避けることに関連していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ASD児群7名、TD児群27名、ASD成人群13名、TD成人11名に課題を実施しており、今後も協力機関の協力の下で参加人数は増える見込みであり、研究実績の概要に記した結果は学会で発表予定である。研究の実施と分析は、ほぼ予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
12歳以下ASD児群、12歳以上ASD児群、12歳以下TD児群、12歳以上TD児群、ASD成人群、TD成人群、各20~30名に実施の予定であるため、今後も連携機関の協力の下で、研究協力者のリクルートを行う。SCRが生起する人数が少ないという点があるが、機器を販売しているtobiiに相談し、実施方法を確認している。 また、SCRが生じていない無反応群の社会的情報への注視についても分析を行い、未着手である瞳孔径の分析も併せて実施する。
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