研究課題/領域番号 |
23K02599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
松浦 孝明 国士舘大学, 文学部, 准教授 (90845504)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 肢体不自由 / 眼球運動 / 上肢機能 / 運動能力評価 / 視覚認知 / 眼球運動トレーニング |
研究開始時の研究の概要 |
視覚情報処理に課題を有する肢体不自由児や発達障害児等の眼球運動に着目し、モニタ上の視標に対する眼球運動と実際の運動場面における眼球運動の特徴について明らかにする。また、眼球運動の向上を目的としたトレーニングを開発し、継続的なトレーニングが眼球運動と運動技能の向上・改善にどのように影響するか検証する。 本研究の成果は、障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶインクルーシブ教育における体育授業の合理的配慮の根拠となり、体育指導の充実に寄与するものと考える。加えて、今後の特別支援教育の自立活動の指導や医療分野のリハビリテーション、その他福祉分野での活用も期待される。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究は肢体不自由者を対象として,コントロールされた実験環境(モニタ上)で一定の運動を繰り返す視標に対する眼球運動の特徴を明らかにすること目的として、眼球運動測定実験を実施した。対象は脳性まひのある成人男性および比較対照として障害のない成人男性であった。実験は、NSUCO眼球運動検査を参考としたタスクを視標提示用PCと提示用モニタを使用して提示して、視標に対する固視および追従性眼球運動の基礎データをアイトラッキング装置により測定した。脳性まひ成人男性は、固視では細かな微動と眼振が認められたり、瞬きの際に視線が視標からズレる特徴が確認された。左右方向に8秒周期で往復移動する視標における追従性眼球運動では概ね視標を追視することができたが、モニタ上を右から左に移動する視標の追視では視線の停留と衝動性眼球運動を繰り返した。対象者は体側左側の痙性麻痺が右側に比較して強い特徴があり、麻痺の左右差との関連が考えられた。また、追視時間が長くなるにつれて停留等が多く認められる傾向が示された。これらから、脳性まひのある成人において眼球運動の課題があることが推察された。 また、2023年度は肢体不自由児者の運動能力の評価方法の研究を進めた。肢体不自由児者の運動障害を研究する理学療法分野の研究者と議論を重ね脳性まひ児の移動能力の分析・評価から粗大運動能力の評価方法について検討を行った。さらに、上肢の運動能力の評価手法の検討では、Box and Block Testおよび簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating Hand Function)を参考にした検査用具を試作し、基礎的な上肢機能の評価にむけた予備実験を行い、ボール運動中の運動能力評価への活用について検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳性麻痺等のある肢体不自由児者のボール運動中の運動能力評価の基準作成が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年は運動場面におけるボールの動きに対する眼球運動を定量的に評価する方法を検討し、測定実験を実施する。加えて、ボールを使用した運動中の上肢運動能力の評価手法について検討を行う。また、肢体不自由児者が自宅等において簡易に行うことができる眼球運動トレーニングの開発を進める。開発においては、特別支援学校等特別支援教育における自立活動の時間の指導で有効活用できることを重視する。 さらに、眼球運動トレーニングの実施計画を策定しトレーニング、指導を実践する。トレーニング後、研究初年度に実施したモニタ上に提示した実験タスクおよび運動場面におけるボールの動きに対する眼球運動測定の実験を実施し、眼球運動及び運動技能の改善・向上に対するトレーニングの影響を検討する。トレーニングの開発に関しては、複数のトレーニングを開発し、「実験、評価」→「トレーニング」→「実験・評価」を繰り返し、トレーニング効果を検討する。 なお、実験においては感染症の対策を十分考慮する必要があるため、主な対象者は成人の肢体不自由者とする。学齢期の児童を対象者とする場合は、健康上のリスクが少ない肢体不自由児に限定する。
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