研究課題/領域番号 |
23K02611
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
村瀬 忍 (廣嶌忍) 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40262745)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ディスレクシア / 読み障害 / 幼児 / スクリーニング / タブレット |
研究開始時の研究の概要 |
発達性ディスレクシア(以下、DDと記す)とは文字の読みの障害のことをさし、文部科学省は、DDへの合理的配慮として文字の音声による読み上げを推奨している。しかし、読み上げの活用を普及させるためには、読み上げが有効な児童生徒を発見することが重要である。本研究では、読み上げの支援が有効と考えられるDD児を発見するためのタブレット用アプリ「みみより」を元にした、幼児版「みみよりファースト」を開発する。そして、開発した「みみよりファースト」を幼児に実施し、これによりDD児を早期に且つ簡易にスクリーニングできることを明らかにする。
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研究実績の概要 |
Luz Relloら(2016,2020)が開発したタブレット端末を使用したディスレクシア検出アプリ Dytectiveを参考に、ディスレクシアのスクリーニング検査「みみよりファースト」を作成した。みみよりファーストはパワーポイントを用いて作成したもので、タブレット上に表示できるようにした。検査課題は、音韻認識能力を測る「平仮名エラー訂正課題」と、単語のまとまり読みの能力を測る「正解探し課題」、文字列からの単語抽出を測る「言葉探し課題」の3課題であった。それぞれの課題に、自分で文字をよむ音声なし課題と読み上げを利用した音声あり課題とが含まれた。4歳9か月から6歳5か月までの障害のない幼児12名にみみよりファーストを実施し、正答率と回答までにかかった時間とを分析した。なお、各課題には10問が含まれたが、3問以上不正解の場合は、その課題の実施は中止した。 平仮名エラー訂正課題について、音声なし課題を中止した対象者は4名、音声あり課題を中止した対象者は1名であった。正解探し課題について、音声なし課題を中止した対象者は7名、音声ありを中止した対象者はいなかった。言葉探し課題について、音声なし課題を中止した対象者は8名、音声あり課題を中止した対象者はいなかった。 音声なし課題について、課題間の相関を検討したところ、正解探し課題と平仮名エラー訂正課題の相関はr=0.77、正解探し課題と言葉探し課題の相関はr=0.73となり、強い正の相関があった。また、平仮名エラー訂正課題と言葉探し課題の相関係数はr=0.47で、弱い正の相関があった。これらのことから、正解探し課題の正答率が他2つの課題の正答率を予想できることが明らかになった。5、6歳の子どもの文字の読みに発達を検査する際には、単語をまとまりで読む課題が有効である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、タブレットを用いて実施できるディスレクシアのスクリーニングアプリを開発することを目的とする。したがって、まず効果的なスクリーニングのために、アプリに利用できる課題を明らかにする必要があった。これについて、技術的な問題から、パワーポイントを用いて課題を作成し、検査を試行的に実施することで課題の決定に取り組んだ。こうした作業に想定以上の時間を要したことは問題であった。 さらに、パワーポイントで作成したことで、正答数と解答時間について自動での記録ができなかった。したがって、解析に有効と考えられる解答時間の測定ができなかった。 この点については、アプリを開発することで解決できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進は以下の2点を必ず実施する。 まず第一は、今年度有効性が明らかになった課題を使って、iPad上で作動するアプリを開発する。アプリは子どもが自分一人でも進められること、モチベーションを維持できるようなデザインを工夫する。また、記録はタブレット内で自動で行い、結果表示もできるようにする。 第二は、完成したアプリを用いて、幼児に検査を実施する。正答率を年齢別に分析することで、文字の読みの発達的な特徴を明らかにする。同一の幼児に対して、1年後に検査を実施し、ディスレクシアのリスクの高い幼児を発見できる可能性を明らかにする。
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