研究課題/領域番号 |
23K02616
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮崎 善郎 岡山大学, 教育学域, 教授 (20849575)
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研究分担者 |
正井 隆晶 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80880632)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 視覚障害 / 盲児 / 図形認識 / 点字教科書 |
研究開始時の研究の概要 |
インクルーシブ教育システムにおける「全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現」に寄与するために,学術的「問い」として「全盲児童の立体図形認識を促す指導方法の必要条件は何か?」,「全盲児童の立体図形認識を促す学習プログラムはどのようにあるべきか」を立て,少数事例実験法による指導効果の妥当性を検証を通して,先天的な全盲児童の立体図形の認識を促す指導プログラムの開発及び効果的な活用が可能となるカリキュラムモデルを提案することを目的とする
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研究実績の概要 |
主として触覚を活用して事物を認知する全盲児童に対して図形の指導を行う際には,視覚の活用が困難であることを考慮し,視覚障害の特性に応じた指導上の工夫が求められる。しかしながら,全盲児に対する効果的な指導方法は未だ確立されているとは言い難い現状がある。そこで本研究では,学術的「問い」として「全盲児童の立体図形認識を促す指導方法の必要条件は何か?」,「全盲児童の立体図形認識を促す学習プログラムはどのようにあるべきか」を立て,少数事例実験法による指導効果の妥当性検証を通して,先天的な全盲児童の立体図形の認識を促す指導プログラムの開発及び効果的な活用が可能となるカリキュラムモデルを提案することを目的とした。 まず,全盲児童の立体図形認識を促す学習プログラムの開発及び効果的な活用を目指し,関連する先行研究を基にその指導方法について比較検討を行った。いずれの報告も,立体の2次元的表現の理解を促すためには操作的な活動が必要であるとし,操作的活動による理解を促すための教材開発とその検証の重要性が示唆された。なお,このことについては日本特殊教育学会第61回大会にてポスター発表を行った。 続いて,この知見をふまえ,盲児の認知特性に配慮した立体図形認識に関する学習プログラムの開発及びその実証的な検証を行うため,必要な教材の作成に着手した。作成を依頼する業者の選定,並びに仕様に関する業者との打ち合わせを行い,増岡・佐藤・大内(2005)が試みた立体物圧縮教材の作成を依頼するとともに,実際に盲児が教材を触運動による探索する際の定量的評価を行うための実験環境の構築を開始した。また,2024年度は点字教科書改訂の時期であることから,カリキュラムモデル開発を見据え,点字教科書における立体図形の取り扱いについて整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
立体物圧縮教材が特殊な形状をしていることから,作成を引き受ける業者の選定に時間を要した。例えば,当初使用する木材として,堅牢性や耐久性の観点から広葉樹系の木材による作成を想定したものの,加工しやすさやコストの点から,針葉樹系木材による試作となった。また,試作品の修正を3回行ったことにより,最終的な完成までに当初の見込みより6ヶ月近く遅れることとなった。 盲児が教材を触運動による探索する際の定量的評価を効率的に行うための実験環境を構築についても,当初は脳波計による測定を想定していたが,研究の進捗に伴い,触運動自体の測定が必要であると判断し,モーションキャプチャによる解析を行うこととした。その際,触運動の測定に適したモーションキャプチャシステムの選定と,導入にかかるコスト面を考慮した研究環境の構築に時間を要しているとともに,メーカーからモーションキャプチャシステム自体の調達することにも時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は「全盲児童の立体図形認識を促す指導方法の必要条件は何か?」に迫るため,少数事例実験法による指導効果の妥当性検証を予定している。対象者にはA県立盲学校に在籍する点字使用児童の協力を得る予定である。 また,「全盲児童の立体図形認識を促す学習プログラムはどのようにあるべきか」に迫るため,A県立盲学校や教職員支援機構(NITS)岡山大学センターとの共催による,立体図形認識を促す指導及び教材開発に関する研修会を今夏開催予定である。 さらに,2024年度は点字教科書改訂の時期であることから,カリキュラムモデル開発を見据え,点字教科書における立体図形の取り扱いついて,「点字指導の手引(令和5年改訂版)」であらたに取り上げられた,触図に関する指導との関連もふまえて考察する。この成果は日本特殊教育学会第62回大会にてポスター発表を行う予定である。
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