研究課題/領域番号 |
23K02625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
小野 晋 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医長 (70772573)
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研究分担者 |
豊島 勝昭 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (50307542)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Fontan / 発達 / 社会適応 / 長期予後 / フォンタン |
研究開始時の研究の概要 |
先天性心疾患患者の救命率は向上し、遠隔期の成長発達とQuality of lifeの向上へ課題が移りつつある。複数回の人工心肺を用いた心臓手術を必要とする単心室型の複雑先天性心疾患患者では、遠隔期に認知機能や言語発達などの発達遅滞が指摘されているが社会適応に焦点を当てた研究はない。学童期、思春期の患者が学校生活などで他者や集団にうまく適応できるかはQuality of lifeに大きく関わる事項である。本研究では、知能検査だけでは評価できない社会適応に焦点をあて、複雑先天性心疾患、中でも単心室型心疾患フォンタン手術後患者の社会適応について評価する。
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研究実績の概要 |
2013年以降に当院で発達検査を行ったFontan手術後患者の発達検査結果および、その他臨床指標についてのデータ入力を行い、下記3項目について統計解析を行った。 ①全体像の評価:今回評価が行えたのは3歳前後で新版K式発達検査を行った141名、6歳前後でWISC-Ⅳ知能検査を行った100名である。3歳時の新版K式発達検査の結果は正常42%、境界40%、遅滞18%で、6歳時のWISC-Ⅳ知能検査の結果は正常64%、境界24%、遅滞12%であった。なお、両方の検査を行った68例に限ると3歳時は正常49%、境界49%、遅滞2%で、6歳時は正常59%、境界34%、遅滞7%であった。 ②リスク因子の評価:各年齢の発達検査、知能検査に影響を与える因子をロジスティック回帰分析を用いて抽出した。リスク因子としては早産児、低出生体重児、総手術回数、初回on-pump手術日齢、総on-pump手術回数、Glenn手術月齢、Fontan手術月齢、術後CVP、SpO2、BNPを挙げた。p<0.05を統計的有意とした。3歳時新版K式発達検査で正常に寄与する因子として非早産児、総手術回数、総on-pump手術回数 (p = 0.0004, 0.02, 0.02 )が抽出された。6歳時WISC-Ⅳ知能検査に影響を与える因子は抽出されなかった。 ③3歳時発達指数のうち6歳時知能指数に与える項目についての検討:3歳時新版K式発達指数は6歳時WISC-Ⅳ知能指数に有意に相関した(r=0.64、p<0.0001)。下位項目のうち認知-適応発達指数(r=0.55,p<0.0001)、言語社会-発達指数(r=0.59, p<0.0001)は相関したが、姿勢-運動発達指数は相関しなかった。 以上の結果を踏まえ、3歳時新版K式発達検査の結果は6歳時WISC-Ⅳ知能指数と有意に相関し、3歳時に発達検査をすることの意義を再認識した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、データ入力が終了している人数は3歳:141名、6歳:100名、9歳:49名である。各年齢群とも、1年あたりの対象者の増加は20名程度が見込まれるため、3歳、6歳については、目標人数の160名に到達することが十分見込まれる。9歳についても、目標人数に近い人数までの到達が見込まれる。 上記、研究実績の概要で報告した内容については2024年7月に開催される第60回小児循環器学会学術集会において中間報告として発表する予定であり、抄録の提出を行い採択された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、症例数を増やし、適宜データ入力を継続する。 2024年度は9歳の症例数を増やし、研究実績の概要で報告した内容に9歳のデータを加え、3歳時新版K式発達検査、6歳時WISC-Ⅳ知能検査、9歳時WISC-Ⅳ知能検査の概要をまとめ、欧州小児心臓病学会での報告を検討する。 2025年度は上記内容の論文化を計画する。さらに次の段階として、Vineland-II適応行動尺度の結果を盛り込み、Fontan術後患者の知能発達に社会性がどのように関与するかの検討に進める。検討内容は小児循環器学会学術集会や欧州小児心臓病学会での報告を計画する。 2026年度は2025年度にまとめた内容の論文化を計画する。
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