研究課題/領域番号 |
23K02628
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
北田 佳子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60574415)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 授業研究 / 授業の省察 / 行為理論 / 組織学習論 / 社会正義 / 教師のエージェンシー / 視線計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、視線計測装置を活用し、校内授業研究が教師の授業に対する観察力と省察力の形成に及ぼす影響を検証するとともに、組織学習の視座から校内授業研究の可能性と課題を明らかにすることを目的としている。具体的には、調査対象校での校内授業研究において、視線計測装置を用いて教師たちの授業観察時の視線動向の変容を記録し、事後検討会での発言の変容との関連を分析・考察する。その結果を、「行為理論」と「組織学習論」の視点に基づいた理論的分析枠組みに基づきさらなる分析・考察を行い、校内授業研究が教師の授業の観察力と省察力の形成に与える影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、アージリスとショーンの「行為理論」と「組織学習論」に関する文献を精査し、特に、組織における「1重ループの学習」から「2重ループの学習」への転換を促す「観察」と「省察」の重要性に焦点化し先行研究の検討を行い、本研究におけるデータの分析・考察のための理論的枠組みの設定に必要な整理を行った。さらに、「2重ループの学習」への転換を促す「観察」と「省察」に対して重要な意味を持つ教師教育における「社会正義(social justice)」と「教師のエージェンシー(teacher agency)」の概念についても先行研究の検討を行い、その成果を国内/国際学会で発表した。加えて、教師の多忙化や教師不足等、教師をとりまく環境も、教師の「観察」と「省察」を含む学習の質に大きな影響を与えるため、国内外の状況を調査し、その成果を国内/国際学会で発表した。 主な成果としては、教師の専門的学習時間の保障に関して日米の状況を比較検討した論文(北田佳子「所定勤務時間における「授業準備」の位置付けにみる教師の専門性と裁量性」『季刊労働法』283、2023年、pp.89-97)、日本の校内授業研究による教師の観察力と省察力の向上と社会正義やエージェンシーとの関連を扱った国際学会発表(Kitada, Yoshik. Collaborative Learning for Creating Democratic Classrooms, World Association of Lesson Studies Annual Conference 2023, Netherlands, November 28; Kitada, Yoshiko. Teacher Agency in School as Learning Community, The 11th International Conference of School as Learning Community, March 3.)がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、次年度に予定している視線計測器を使用した調査で収集したデータ分析の理論的枠組みの設定のため、当初より予定していた「行為理論」と「組織学習論」に関する概念整理を進めることができたことに加え、教師の学習の中核的概念である「社会正義」や「教師のエージェンシー」についての概念整理を行うことができた。さらに、教師の学習の質や学習の機会に間接/直接の影響を与える労働環境や社会状況についても検討し、論文や国内外での学会発表を行うことができた。そのため、2023年度の研究目標は概ね達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度・2025年度は、視線計測器を活用し校内授業研究における授業の観察力と省察力の変容を捉える。具体的には、1)調査対象校で実施される校内授業研究の焦点授業において視線計測器を活用し、調査対象となる教師たちの授業観察時の視線動向を記録する、2)全校教師参加の事後検討会の様子をICレコーダーで記録し、調査対象の教師たちの発言と彼らの授業観察時の視線動向記録との関連を分析する、3)調査対象の教師たちに事後インタビューを行い、それぞれの授業の見方や省察の仕方の変化やその要因について分析・考察する。 2026年度は、2024年度・2025年度に収集した各種データの分析を行い、組織学習の視点から校内授業研究の可能性と課題を検討する。その際、2023年度に行った先行研究の精査を踏まえた理論的分析枠組みに基づき、組織学習の視点から校内授業研究の可能性と課題を明らかにする。
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