研究課題/領域番号 |
23K02630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
田中 里志 京都教育大学, 教育学部, 教授 (00252536)
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研究分担者 |
石川 誠 京都教育大学, 教育学部, 教授 (00293978)
斉藤 恵太 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20759196)
延原 理恵 京都教育大学, 教育学部, 教授 (40310718)
藤浪 理恵子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (40580725)
中垣 ますみ 京都教育大学, 教育創生リージョナルセンター機構, 教授 (50849891)
中村 翼 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (70748970)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 地産地承 / 地産地消 / 京都北部 / 丹後半島 / 地域教材 / 京都丹後地域 / 総合的な学習の時間 / 探究活動 / 丹後地産地承マップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、過疎化が進む京都府北部地域において大学と地域とが協働し、小・中・高等学校の連携を視野に入れた北部地域独自の「地産地承」を焦点化した地域学習教材の開発を主目的としている。「地産地承」は造語で、京都府北部の海・山・里の恵みを生活基盤とした衣・食・住、悠久の時間が創り上げた自然や大陸と交流があったとされる歴史、そして人々の暮らしとそこに育まれた伝統文化など地域資源を継承することである。その地産地承を小・中学校での「総合的な学習の時間」ならびに高等学校での「探究活動」に活用できる学習教材の開発並びに地域資源がもつ意味やその重要さを教え伝えることができる人材育成と研修のあり方について考える。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究実績として大きなものとしては以下の2つをあげることができる。 一つは,京都府北部丹後地域の地産地承(地産地消)マップ(ver.1)を完成させたことである。作成した丹後半島のマップには,丹後の自然を散策・観察できる「ジオスポット」,歴史文化を散策できる「歴史・文化遺産スポット」そして丹後海と星の見える丘公園で扱われる食材の産地「うみほし公園の地産地消スポット」の3種のスポットとして現地調査を行いまとめ,それらを地図上に表示させた。具体的に「ジオスポット」として9地点(夕陽ヶ浦,琴引浜,ネイチャークラブハウス,立岩,青の洞窟,丹後松島,穴文殊,経ヶ岬,伊根の舟屋),「歴史・文化遺産スポット」として5地点(琴引浜鳴き砂文化館,丹後フルーツガーデン,和久傳の森,知恩寺,ちりめん街道),そして「海と星の見える丘公園の地産地消スポット」として2地点(農家パン弥栄窯,三野養鶏場)について見所などと共に説明を加えた。散策・観察スポットを表示した地図は,丹後海と星の見える丘公園内の各所に掲示している。この公園を訪れた人々に,実際に丹後半島の表示ポイントへ訪問していただき,各ポイントで自学自習ができる地域教材として活用できるようにしている。地図には二次元バーコード(QRコード)を設けることで,行きたい場所の説明を端末やタブレット等で開くことができるようにしている。 もう一つは,上記紙媒体の地図をデジタル化して表示したもので,そのスポットをPC内でクリックすると360度カメラで撮影したその観察場所の画像が表示され,さらに近付いて肉眼での観察そしてルーペでの観察画像(接写画像)とすることができるようにし,その地点の自然をしっかりと観察できるPCプログラムを構築した。現段階では初期の教材で数カ所の地点に限られるものであるが,こうしたデジタル教材のプラットフォームを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の成果として,自学自習ができる地産地承(地産地消)マップの作成を掲げていたが,それについては基本となる地図(紙媒体)を完成させることができた。それぞれの散策・観察ポイントについては,2023年度は「ジオスポット」として9地点,「歴史・文化遺産スポット」として5地点,「海と星の見える丘公園の地産地消スポット」として2地点の計16地点を取り上げたが,丹後地域にはまだまだ多くの残すべき,伝承すべき学習スポットがあり,それらについても次年度にさらに情報を増やしてまとめる必要があると考えている。丹後(京都北部)地域の調査や活動については,何度も現地に赴くとともに,本学学生の補助を得て本科研の取り組みを進めることができた。そうした丹後(京都北部)地域における調査やまとめの活動は,本学学生の学習の機会ともなり,学生が北部地域に関心を高めるなど高評価であると考えている。 2023年度の活動としては,当初目的としていた京都府北部丹後地域の地産地承(地産地消)マップ(ver.1)を完成させることができたため,その評価は「概ね順調に進展している」とした。 また360度カメラを使い撮影した画像をPCやタブレット端末で見ることができるプログラムの基礎(プラットフォーム)を組み,様々な端末(PCやスマートホンを含むタブレット等)で即座に見て学習できるプログラムの構築は2024年度の活動へとつながるものである。 さらに地元の地場産業を含めた経済の基本を学ぶ取り組みとして「フェアトレードを考える」活動を小学生の子どもたちとともに行った。ゲーム感覚で経済の仕組みを考える活動で,子どもたちから「産地と消費地の関係について考えることができた」「発展途上国と先進国間のトレードだが都会と過疎地と置き換えても考えられる」など概ね高評価であった。そのことからも「概ね順調に進展している」とする評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,昨年度実施した紙媒体の京都府北部丹後地域の地産地承(地産地消)マップ(ver.1)にさらに情報を追加して掲示する地図の充実を図り,地産地承(地産地消)マップ(ver.2)を作成する。また,昨年度の段階でPC上に表示できる丹後半島マップの散策・観察スポットをさらに充実させる。昨年度段階ではスポットをクリックすることで,その地点の360度画像を見ることができ,そこから徐々にクローズアップした画像へと進むことができる「自然を対象とした地域教材プログラム」の基本形(プラットフォーム)を作成したが,それらをさらに使いやすいものにするとともに観察スポットを増やすことを考えている。また現状ではルーペを使ってのクローズアップ画像であるが,それらを顕微鏡下で観察するクローズアップ画像まで進むことができるようにして,そのスポットをより深く学ぶことができる教材として展開できればと考えている。また,そうした地域教材を地元の中学校や高等学校の生徒ならびに現場での地域教材として実際に総合的な時間,総合的な探究の時間等で使っていただく機会を設け,総合的に評価することを考えている。 また,丹後地域の自然物については,子どもたちにその素晴らしさや魅力を伝える活動をさらに進め,丹後の「地産地承(地産地消)」について子どもたちが地元のことについて興味を持ち考えられるような活動として進めていきたい。
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